障害年金の障害認定日の原則と特例 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金の請求を代行
障害年金の障害認定日とは、障害の程度を認定する日のことで、その障害の原因となった病気やけがについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日から1年6か月を経過した日、または1年6か月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日とされています。ここでは、障害認定日の原則や特例について詳しく解説します。
障害認定日とは
「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日又は1年6か月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいいます。
障害認定日に国民年金法施行令別表・厚生年金保険法施行令別表第1および第2に定める障害の程度に該当する状態であれば、翌月から障害年金が支給されることになります。
障害認定日の原則
障害年金の原則は、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日です。例えば、初診日が2022年1月10日であれば、障害認定日は2023年7月10日となります。
障害認定日の例外
20歳前傷病の障害認定日
20歳前傷病とは、20歳に達する前に初診日がある方が対象となる障害基礎年金をいい、障害認定日は以下のいずれか遅い日になります。
- 20歳の誕生日前日
- 初診日から1年6か月経過した日
例えば、初診日が18歳10か月の時であれば、1年6か月経過した日は20歳4か月になります。20歳の誕生日前日よりも遅くなるため、障害認定日は20歳4か月になります。知的障害の方の場合は、出生日が初診日となるため、障害認定日は20歳の誕生日前日となります。
障害認定日の特例
障害認定日は、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日が原則ですが、1年6か月前に傷病が治った場合(症状固定)は、その日が障害認定日とされます。
障害年金における「治った(症状固定)」とは、その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含むこととされており、「器質的欠損もしくは変形または機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、または、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待しえない状態に至った場合」をいいます。
治った(症状固定)として扱われるもの
障害認定基準等で、「治った(症状固定)」として扱われる状態には、以下のようなものがあります。
傷病が治った状態 | 障害認定日 |
---|---|
人工透析療法を行った場合 | 人工透析療法を開始した日から起算して3か月を経過した日 |
人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合 | そう入置換日 |
人工弁、心臓ペースメーカー、ICD、CRT、CRT-D、人工血管(ステントグラフトを含む)を行った場合 | 装着日、挿入置換日 |
人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合 | 造設または手術を施した日から起算して6か月を経過した日 |
新膀胱を造設した場合 | 新膀胱を造設した日 |
肢体を切断や離断した場合 | 原則として切断日や離断日(障害手当金の場合は創面が治癒した日) |
咽頭全摘出の場合 | 全摘出した日 |
在宅酸素療法を行っている場合 | 初診日より6か月経過した日以降に、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められないとき |
治った(症状固定)の具体例
初診日はA整形外科を受診した2020年1月28日であり、初診日から9か月後(2020年10月20日)に人工関節のそう入置換手術を受けています。本来の障害認定日は初診日から1年6か月経過した日の2021年7月28日ですが、人工関節のそう入置換によって「治った(症状固定)」とされるため、2020年10月20日が障害認定日となります。
最後に
ここでは、障害認定日の原則と特例について解説しました。
障害年金を請求する際は、必要な知識を把握した上で、年金事務所に足を運び、正しい手順で手続きを進める必要があります。
障害年金の手続きは複雑で、一般の方には分かりにくい点も多いため、不安や疑問がある場合は、社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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