大阪府豊中市 8年間の未受診期間を「社会的治癒」と申立て うつ病で障害厚生年金2級を受給 | かなみ社会保険労務士事務所

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相談者の状況

職場の環境変化と精神的な重圧

平成13年4月の部署異動でした。新しい部署は非常に緊張感の漂う環境で、直属の上司による部下への指導は、指導の域を超えた厳しいものでした。

同僚たちが次々といじめのような叱責の対象となり、精神的に追い詰められていく姿を目の当たりにする日々。「明日は我が身かもしれない」「次は自分が標的になるのではないか」という強烈な不安がありました。職場にいる間は常に動悸がし、帰宅しても翌日の出勤への恐怖で眠れない日々が続きました。

誰にも言えずに受診したメンタルクリニック

精神状態が極限まで不安定になり、平成14年頃に、Aメンタルクリニックを受診しました。

「会社に知られたら人事評価に響くのではないか」「同僚に知られたら噂になるのではないか」という強い懸念から、健康保険証を使用しない「自費診療」によって定期的に通院していました。

転機と症状の消失、そして「社会的治癒」へ

平成16年4月1日、転勤することになりました。新しい職場は、それまでの労働負荷の高い環境とは打って変わり、比較的定型的な業務が中心の部署でした。

職場環境でも、威圧的な上司やピリついた空気はなく、穏やかな環境で業務を行うことができました。精神的ストレスは急速に軽減していき、転勤した頃を境に病院への受診をやめました。

仕事も通常通りこなし、日常生活においてもなにも支障のない日々を過ごしていました。

8年間の未受診期間

平成16年から平成24年までの8年間は、完全に医療機関から離れ、社会人として勤務を継続されました。障害年金では、この期間は単なる「通院の中断」ではなく、「社会的治癒」とみなされる可能性が高い重要な期間となります。

社会的治癒期間とは、一定期間、治療を必要とせず社会生活を普通に送れていた場合、以前の傷病はいったん治癒したと扱い、その後の再発を「新たな傷病(新しい初診日)」として扱う考え方です。本件では、この8年間を「社会的治癒」として申立てることにしました。

再発、休職から退職に

平成24年の転勤により、再び職場環境が変わりました。そこでは、責任の重圧と人間関係のストレスが非常に強く、以前の症状が再発しました。

Bクリニックを受診したところ、適応障害と診断され休職を指示され、精神療法と薬物療法を開始することになりました。

その後、半年間のリワークを経て復職しましたが、職場環境には変化はなく、精神的に追い詰められる状況が続き、退職することになりました。

受任から障害年金の請求までに行ったこと

初診日の特定と「過去の受診歴」の発覚

転勤先の環境変化やパワハラにより発病したBクリニックにて「受診状況等証明書」を取得したところ、「平成14年にうつ病で3、4年通院歴あり」との記載がありました。
ご本人様に確認したところ、当時は自費診療での通院歴がありましたが、その後は職場環境に恵まれ精神状態は安定していました。

「社会的治癒」の申し立て

平成16年から平成24年までの約8年間は受診しておらず、通常の社会生活を送っていたことから、この期間を「社会的治癒(治ったとみなす期間)」として申し立てを実施。
これにより、過去の受診ではなく、今回のBクリニック受診を「初診日」として主張することにしました。

遡及請求の検討と断念

障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)に通院していたC病院へ照会をかけたところ、当時のカルテ記載は「適応障害」のみでした。
適応障害は原則として障害年金の対象外とされるため、遡及請求(過去に遡っての請求)は困難と判断し断念しました。

「事後重症請求」への切り替え

方針を現在時点での請求(事後重症請求)に切り替え、現在通院中のEこころのクリニックにて診断書を取得しました。日常生活能力の判定平均は2.5、日常生活能力の程度は(3)で、障害の程度の目安は「2級または3級」でした。

結果

障害厚生年金 2級
(大阪府豊中市・うつ病)

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投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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