大腿骨骨頭壊死による人工関節 障害年金を申請(請求)する方法を解説 | かなみ社会保険労務士事務所

大腿骨骨頭壊死により人工関節となった方や歩行が著しく困難になっている場合は、障害年金の対象です。ここでは、大腿骨骨頭壊死なった場合の障害年金の基準や申請(請求)手続きのポイントを解説します。

大腿骨骨頭壊死で人工関節となった場合の障害認定基準

大腿骨骨頭壊死で人工関節となった場合の「障害認定基準」は、次のようにされています。

等級 障害の程度
3級 一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの。

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障害年金の申請(請求)の進め方

大腿骨骨頭壊死で障害年金を申請(請求)手続きの進め方は次のようになります。

  1. 「初診日」を調べる。
  2. 受診状況等証明書取得する。
  3. 病歴・就労状況等申立書」作成する。
  4. 診断書(肢体の障害用)」の作成を病院に依頼する。

具体的な手順はこちらのページで解説していますので、ご確認ください。

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大腿骨骨頭壊死で障害年金を申請(請求)する際のポイント

ポイント1 大腿骨骨頭壊死の原因がアルコールの大量摂取の場合

大腿骨骨頭壊死となった原因がアルコールを大量摂取だった場合、障害年金の申請(請求)では、「股関節あたりに痛みを感じ、それにより初めて医師の診察を受けた日」が初診日になります。

ポイント2 大腿骨骨頭壊死の原因がステロイド剤の大量投与による場合

初診日分かりますか

次の文章を読みやすくしてください。

大腿骨骨頭壊死となった原因がステロイド剤の大量投与による場合は、「ステロイド剤の大量投与と大腿骨骨頭壊死との間に因果関係が認められた場合(ステロイド剤による副作用が明らかな場合)」には、痛みを感じて初めて医師の診療を受けた日とされるのではなく、ステロイド剤が投与されるようになった原因となる病気(例えば、白血病、全身性エリテマトーデスや膠原病)の初診日が障害年金を申請(請求)する場合の初診日とされています。

ステロイド療法を受けた多くの方が、大腿骨骨頭壊死を発症するのではありません。このため、大腿骨骨頭壊死がステロイド療法の原因であると明確に証明できた場合は、ステロイド剤が投与されるようになった原因となる病気の初診日が障害年金の初診日とされます。


事例1 痛みを感じた日が初診日となったケース

白血病治療のためにステロイド剤を使用しました。白血病は完治しましたが、ステロイド剤の大量投与により股関節が壊死し、人工関節手術が必要となりました。

初診日を「白血病治療が始まった日」とするか、「骨頭壊死が判明した整形外科での初診日」とするかで迷いました。どちらを選んでも、初診日は厚生年金の被保険者であり、診断書には「ステロイド剤との因果関係が排除できない」との記載があったため、「白血病治療が始まった日」を初診日として障害年金を申請(請求)しました。

審査では、ステロイド剤の投与と大腿骨骨頭壊死の因果関係を認めず、大腿骨骨頭壊死が分かった整形外科の初診日が認定されました。(障害厚生年金3級)


事例2 ステロイド剤を使用した原因となる病気が初診日となったケース

大腿骨骨頭壊死により人工関節手術を受けたでした。

年金事務所の担当者は、「大腿骨骨頭壊死で初めて医療機関を受診した日が障害年金の初診日である」と説明を受けていました。申請(請求)者の年金加入歴は、大腿骨骨頭壊死で初めて医療機関を受診した日は国民年金の被保険者であったため、2級までしか障害基礎年金を受給できない旨が伝えられました。※人工関節のため3級程度の障害。

しかし、ステロイド剤の投与が大腿骨骨頭壊死の原因であると明らかな場合、ステロイド剤投与の原因となった元の傷病により初めて医療機関を受診した日が初診日となります。申請(請求)者の場合、元の傷病の初診日は厚生年金の被保険者だったので、障害年金を受給できる可能性がありました。

医師がステロイド剤の投与が原因で大腿骨骨頭壊死が発症したことを申請(請求)人に説明していたことから、その旨の意見書を診断書に添付し、障害年金の申請を行いました。(障害厚生年金3級)

ポイント3 障害年金を申請(請求)できるのはいつから?

大腿骨骨頭壊死により人工関節手術を受ける場合、障害認定日にも注意する必要があります。

通常、障害認定日は初診日から1年6か月後に設定されますが、人工関節の場合、障害認定日は「人工関節を挿入した日」となります。

初診日から1年6か月経過前に人工関節手術が行われる場合、すぐに障害年金を申請(請求)できます。

障害年金を申請(請求)せずに時間が経過しても、障害認定日時点の診断書があれば、その時点から遡って請求が可能です。

初診日から1年6か月経過後に人工関節手術が行われる場合、通常通り初診日から1年6か月経過した日が障害認定日となります。障害認定日時点で日常生活に著しい支障がない場合、障害等級に該当せず、障害年金を申請(請求)した時点から受給が可能です。

人工関節手術を受けたにも関わらず、障害年金を申請(請求)していない場合、過去に遡っての受給はできませんので、早急に申請(請求)する必要があります。申請(請求)が1か月遅れると、その分の年金が受け取れませんのでご注意ください。

ポイント4 病歴・就労状況等申立書の記載内容も重要になります

初診日の証明ができ、症状が正しく反映された診断書を取得した後は、「病歴・就労状況等申立書」を作成します。

発病時から現在までの経過を整理し、年月順に記入していきます。これには通院期間や入院期間、医師から指示された事項や就労状況や日常生活状況、受診していなかった期間はなぜ受診をしなかったのかなどを具体的に記入していきます。

診断書は現在の病状を表すもので、病歴・就労状況等申立書はこれまでの病状の経過を表すものと言えます。

ステロイド剤が原因によるものと申し立てる場合は、傷病の経過を丁寧に記載していきましょう。

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ご不安な方は障害年金の専門家への相談をしましょう

実際に障害年金を申請(請求)する際には、障害年金に関する知識を抑えた上で、年金事務所へ足を運び煩雑な処理を正しい手順で進めていく必要があります。

障害年金は複雑で一般の方には難しい点も多々あります。不安や分からないことがある場合は、障害年金を扱っている専門家(社会保険労務士など)に相談しましょう。

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