関節リウマチで障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説 | かなみ社会保険労務士事務所
関節リウマチで日常生活や労働に著しい支障がでている場合は障害年金の対象になります。
ここでは、関節リウマチで障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説します。
関節リウマチの障害認定基準は
関節リウマチの「障害認定基準」は次のようになっています。
※3級は初診日に厚生年金の被保険者だった場合になります。
支給される障害年金額の例示は等級別の障害年金の年金額をご参照ください。
等級 | 障害の程度 |
---|---|
1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの |
3級 | 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
・肢体の機能の障害が、上肢や下肢の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準によって審査されます。
・肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合で、上肢と下肢の障害の状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断されます。
・肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
・手指の機能と上肢の機能は別にされていますが、障害の評価としては切り離すことなく、手指の機能は上肢の機能の一部として取り扱われています。
障害年金の申請(請求)の進め方
関節リウマチで障害年金を申請(請求)する手続は次のようになります。
- 「初診日」を調べる。
-
「受診状況等証明書」取得する。
- 「病歴・就労状況等申立書」作成する。
- 「診断書(肢体の障害用)」の作成を病院に依頼する。
具体的な手順はこちらのページで解説していますので、ご確認ください。
関節リウマチで障害年金を申請(請求)するポイント
ポイント1 障害年金の申請(請求)では初診日の特定が重要
障害年金では、「初診日」を基準にして受給要件を満たしているか確認されるため、「初診日」を特定することが重要になります。
関節リウマチの症状は緩やかに進行するため、初診日が20年前や30年前に遡ることが多くあります。
「初診日」は、自己申告で認められることはなく、客観的な資料により「初診日」または「初診時期」を特定する必要があります。
「初診日」を客観的な資料で特定できない場合もあるでしょう。そのような時は、他の資料等を提出することによって「初診日」を認めてもらえる可能性があります。
大事なことは「初診日」が曖昧なまま、障害年金を申請(請求)しないことです。
「初診日」の取得方法については、以下のリンク先に掲載していますのでご覧ください。
ポイント2 関節可動域と筋力の測定
障害年金の審査では、障害の程度を「関節可動域の制限」や「筋力低下」の度合いと、ポイント3にあげる「日常生活における動作の障害の程度」を参考にし、総合的に審査されることになります。
関節可動域と筋力については、診断書表面の⑭握力と⑮手(足)指関節の他動可動域、診断書裏面の⑯関節可動域及び筋力の項目となります。関節リウマチの症状が出ている箇所の記載漏れがないか確認が必要です。
ポイント3 日常生活における動作の障害の程度
診断書には「日常生活における動作の障害の程度」という項目があります。障害年金の審査では重要視される箇所になりますので、日常生活の実態と合致しているか確認しましょう。
ポイント4 病歴・就労状況等申立書も重要な書類です
病歴・就労状況等申立書には、発病の経過や病院を受診した経緯、症状の経過などを記入する必要があります。現在までの通院歴や病歴はもちろん、関節リウマチの状態、関節リウマチによってどのように日常生活に支障が出ているかなどを丁寧に記入していきます。
「病歴・就労状況等申立書」は、障害年金の申請(請求)上で唯一請求者側から伝えることのできる書類といえますので、いい加減に仕上げることのないように丁寧に記入していきたいものです。
関節リウマチで障害年金の申請(請求)をサポートした事例集
弊所が担当させていただいた案件を一部ご紹介いたします。
初診日は30年前 第三者証明で障害年金を請求(関節リウマチ)
30年前に関節の痛みにより病院を受診した。病気の性質上、受診の中断期間がなく、どの医療機関に問い合わせても、30年前の受診歴がカルテに記載されていた。
このため、社会的治癒を主張するのには難しいと判断し、初診日を探すことから始めた。
問題は、初診日近くに国民年金と厚生年金の加入歴があり、厚生年金に加入中に初診日があるということを確実に証明しなければならないことだった。
一つ一つの病院を丁寧に当たりカルテが現存していた病院でカルテ開示を行なったが、確実に初診とされる月が特定されず、このまま請求すると「初診日が特定できず」障害年金を受給できないという危険性もあった。
このため、初診日前後を知っている会社の上司、当時の会社保健室の看護師に第3者証明として証言してもらい、それを補足資料として提出することにした。
初診日を確実に認めてもらうために非常に苦労した案件であった。(障害厚生年金3級)
ご不安な方は障害年金の専門家への相談をしましょう
実際に障害年金を申請(請求)する際には、障害年金に関する知識を抑えた上で、年金事務所へ足を運び煩雑な処理を正しい手順で進めていく必要があります。
障害年金は複雑で一般の方には難しい点も多々あります。不安や分からないことがある場合は、障害年金を扱っている専門家(社会保険労務士など)に相談しましょう。
投稿者プロフィール

最新の投稿
- 2023.04.15肢体の障害遷延性意識障害(植物状態)で障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説
- 2022.12.21肢体の障害関節リウマチで障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説
- 2022.05.31眼・耳・鼻・口の障害緑内障で障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説
- 2021.09.28肢体の障害筋ジストロフィーで障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説