変形性膝関節症で障害年金を請求する方法を解説 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求(申請)を代行

変形性膝関節症が進行し、人工関節の手術が必要になった場合、障害年金を請求(申請)することができます。

障害年金を請求(申請)するには、初診日の証明や診断書、病歴・就労状況等申立書などの書類を準備する必要があります。

この記事では、障害認定基準や請求手続きの流れ、準備すべき書類や注意点などについてわかりやすく解説いたします。

変形性膝関節症(人工関節)の障害認定基準は

障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に定められており、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」が定められています。

ここでは、「障害認定基準」の中から、「下肢の認定基準」を抜粋してご紹介します。

等級 障害の程度
2級
  • 人工骨頭又は人工関節をそう入置換しても、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が次のような場合
    ・不良肢位で強直している
    ・一下肢の関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2 分1 以下に制限され、かつ、筋力が半減している
    ・筋力が著減又は消失しているもの
  • 膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合
  • 人工骨頭又は人工関節をそう入置換しても、両下肢とも3大関節中1関節以上の関節が次のような場合
    ・不良肢位で強直しているもの
    ・筋力が半減しているもの
3級
  • 一下肢の3 大関節中1 関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の3 大関節中1 関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したもの

障害年金の請求手順

変形性膝関節症で人工関節となった場合、障害年金の請求手続きは、以下のような手順で進めます。

    1. 初診日を調べる
    2. 年金事務所などで「保険料納付要件」を満たしていることを確認する
    3. 受診状況等証明書を取得する
    4. 病歴・就労状況等申立書を作成する
    5. 診断書を取得する
    6. その他必要書類を揃える
    7. 年金事務所などに年金請求書を提出する

受診状況等証明書の取得

受診状況等証明書の取得障害年金を受給するには、障害の原因となる傷病が発生する前に、年金保険料を一定期間納付していることなどが支給要件となるため、初診日が非常に重要になります。

初診日を確認するための書類が「受診状況等証明書」になりますが、診断書を作成した病院が最初に受診した病院と同じである場合、この証明書は必要ありません。

初診時の病院と診断書を作成する病院が異なっている場合には、最初の病院で受診状況等証明書を取得します。

病歴・就労状況等申立書の作成

「病歴・就労状況等申立書」は、診断書や受診状況等証明書とともに、障害の認定において非常に重要な書類です。この書類は、診断書などが一時的な状況を示す「点」であるのに対し、発病から現在までの流れを記載する「線」の役割を持ちます。

発病から初診に至るまでの経緯や初診から現在までの治療経過を記載し、転院歴がある場合は通院した病院ごとに記載します。

診断書の取得

障害年金の請求(申請)には、肢体の障害用の診断書を使用します。

⑬人工関節の装着の状態に「手術部位」と「手術日」の記載漏れがないか確認します。障害の程度2級以上に該当する場合は、⑯関節可動域及び筋力の記載が必ず必要になります。

変形性膝関節症(人工関節)の障害認定日

誤解されていること初診日から1年6か月経過前に人工関節となった場合

初診日から1年6か月以内に人工関節の置換手術を受けた場合は、「障害認定日」が通常とは異なります。
本来、障害認定日は「初診日から1年6か月を経過した日」ですが、人工関節をそう入・置換した場合は「手術を行った日」が障害認定日となります。上図の事例で考えると、初診日はA整形外科を受診した2020年1月28日であり、初診日から約9か月後(2020年10月20日)に人工関節のそう入置換手術を受けています。本来の障害認定日は初診日から1年6か月経過した日の2021年7月28日になりますが、人工関節のそう入置換によって「症状固定」とされるため、2020年10月20日が障害認定日となります。

初診日から1年6か月経過後に人工関節となった場合

初診日から1年6か月を経過して人工関節の手術を受けた場合、障害認定日は「初診日から1年6か月を経過した日」となります。
障害認定日に日常生活に著しい支障がない場合は、障害等級に該当せず、障害年金は請求(申請)を行った時点から受給が始まります。人工関節の手術を受けても、障害年金の請求(申請)をしていない場合は、過去にさかのぼって受給することはできません。

ご不安な方は障害年金の専門家への相談をしましょう

実際に障害年金を請求(申請)する際には、障害年金に関する知識を抑えた上で、年金事務所へ足を運び煩雑な処理を正しい手順で進めていく必要があります。障害年金は複雑で一般の方には難しい点も多々あります。不安や分からないことがある場合は、障害年金を扱っている専門家(社会保険労務士など)に相談しましょう。

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

このページTOPへ

前後記事&カテゴリ記事一覧

このページTOPへ