パーキンソン病の初診日はアキレス腱周囲炎 パーキンソン病で障害厚生年金1級を受給 | かなみ社会保険労務士事務所
| 大阪府豊中市A様
相談者の状況
歩行時に両足のアキレス腱周囲に痛みや違和感を感じました。整形外科病院を受診し、レントゲン検査を受けましたが異常はなく、「アキレス腱周囲炎」であると言われました。
整形外科病院には数回受診しましたが、アキレス腱の状態に変化はなく、別の整形外科を受診しましたが、何もすることがないと言われ、足首のマッサージを受けるだけでした。
半年経っても足首の痛みは続いており、次第に前傾姿勢が酷くなっていました。歩行中に膝から崩れ落ちてしまうこともありました。
原因不明の症状により、精神状態は不安定になり、心療内科を受診されました。
5年後、安静時に振戦があり、身体全体に固縮様もおこるようになったため、心療内科の医師から神経内科を受診するように言われました。脳MRI検査では異常はなかったものの、MIBG心筋シンチグラフィーで集積低下が認められ、抗パーキンソン病薬の服用で症状の改善が見られたことから、パーキンソン病であると診断されました。
パーキンソン病の治療の経過中に強い恐怖を伴う幻視や幻聴などの症状が出るようになりました。恐怖のあまり、屋外に飛び出したところで突然オフ状態になり、身動きが取れずに救急搬送されました。医師から、パーキンソン病に伴った精神症状であると言われ、薬物療法が開始されることになりました。
受任から申請(請求)までに行ったこと
初診日の傷病名である「アキレス腱周囲炎」が「パーキンソン病」の初診日として認められない可能性を考えました。申請(請求)人が保管されていた書類に「アキレス腱云々のエピソードは病初期に出現したジストニアの可能性も疑われる」の記載を見つけることができ、その書類を初診日の参考資料として提出しました。
パーキンソン病の障害の程度では、日常生活における動作の障害の程度は「1日の平均的な程度として、〇△(一人でできてもやや不自由)」が多くなっており、パーキンソン病で日常生活活動能力は制限されており、特にオフ時は著しく制限されていると記載されていました。次にパーキンソン病に伴う精神症状は、日常生活能力の判定平均は「3.4」、日常生活能力の程度は(4)となっていました。
障害年金を申請(請求)時に予想された等級は、パーキンソン病は2級または3級相当で、パーキンソン病に伴う精神症状は2級相当になると考えました。
結果
障害厚生年金2級として決定されました。
保有個人情報の開示請求を行う
パーキンソン病もパーキンソン病に伴う精神症状も2級相当であり、併合されて1級になる可能性があり、審査請求を行うことになりました。
審査請求を行うにあたり、審査状況を確認するために個人情報開示請求を行ったところ、パーキンソン病は3級とされ、パーキンソン病に伴う精神症状は2級となっていることが分かりました。
このため、審査請求では、パーキンソン病が2級相当であると主張することになりました。
パーキンソン病の障害の程度を争う
審査請求では、診断書に記載されていた「パーキンソン病で日常生活活動能力は制限されている。特にオフ時は著しく制限されている。」を根拠に主張しました。日常生活における動作も「1日の平均的な程度」で評価されていたことから、オフ時とオン時の状態を評価したものを提出しました。また、過去5年間の所得証明書を提出し、パーキンソン症状によって就労できなかったことを申し立てました。
審査請求では棄却されましたが、再審査請求で容認決定になり、パーキンソン病とパーキンソン病に伴う精神症状の両疾患とも2級とされ、障害厚生年金1級が決定されました。
最終結果
年金種類と等級;障害厚生年金1級
年金額:年額1,530,000円
その他
>>> パーキンソン病で障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説
>>> 障害年金の不服申立て( 審査請求・再審査請求)の流れとポイントを解説
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