遷延性意識障害(植物状態)で障害年金を請求する方法を解説 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金申請(請求)を代行
遷延性意識障害(植物状態)となっている場合、障害年金の対象になる可能性があります。障害年金を請求する際には、初診日や医師の診断書などの証明が必要になります。ここでは、遷延性意識障害(植物状態)の障害認定基準や、請求手続きの流れ、準備すべき書類や注意点などについてわかりやすく解説いたします。
遷延性意識障害(植物状態)の障害認定基準
障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に定められており、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」が定められています。ここでは、障害認定基準の中から「その他の疾患による障害」の認定基準を抜粋してご紹介します。
| 等級 | 障害の程度 |
|---|---|
| 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
障害年金の請求手順
遷延性意識障害(植物状態)による障害年金の請求手続きは、以下のような手順で進めます。
- 初診日を調べる
- 年金事務所などで「保険料納付要件」を満たしていることを確認する
- 受診状況等証明書を取得する
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- 診断書を取得する
- その他必要書類を揃える
- 年金事務所などに年金請求書を提出する
受診状況等証明書の取得
障害年金を受給するには、障害の原因となる傷病が発生する前に、年金保険料を一定期間納付していることなどが支給要件となるため、初診日が非常に重要になります。
遷延性意識障害(植物状態)は、脳出血や脳梗塞、交通事故などでの外傷などをきっかけとして引き起こされ、脳への深刻なダメージによって遷延性意識障害(植物状態)になります。初診日の証明(受診状況等証明書)を取得する時は、脳梗塞や脳出血、外傷などによって初めて受診した医療機関で「受診状況等証明書」を取得します。
病歴・就労状況等申立書の作成
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書や受診状況等証明書とともに、障害の認定において非常に重要な書類です。この書類は、診断書などが一時的な状況を示す「点」であるのに対し、発病から現在までの流れを記載する「線」の役割を持ちます。発病から初診に至るまでの経緯や初診から現在までの治療経過、現在の病状や日常生活の状況などを具体的に記載します。
遷延性意識状態(植物状態)の障害認定日
遷延性意識障害(植物状態)で障害年金を請求する場合、障害認定日(障害年金を申請(請求)できる日)は原則とは異なった取扱いになります。障害認定基準では「遷延性意識障害(植物状態)に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められる とき(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く)」とされています。
遷延性意識状態(植物状態)に至った日とは

遷延性意識障害(植物状態)に至った日とは、次の1~6に該当し、かつ、それが3月以上継続しほぼ固定している状態のこととされています。
<遷延性植物状態の診断基準の6項目>
| 1 | 自力で移動できない |
|---|---|
| 2 | 自力で食物を摂取できない |
| 3 | 糞尿失禁をみる |
| 4 | 目で物を追うが認識できない |
| 5 | 簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない |
| 6 | 声は出るが意味のある発語ではない |
診断書の取得
遷延性意識障害(植物状態)に至った日から起算して3月を経過した日以後に障害年金を請求する場合は、診断書の記載内容を確認しておくようにしましょう。重要なことは、診断書に「遷延性意識障害(植物状態)に至った日」と「症状が固定されている」ことが明確になっていることです。
診断書をで確認する箇所は⑦と⑨欄になります。
- 診断書の表面⑦「傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む。)かどうか」で「症状が治った(固定)の確認に〇」がされており、「遷延性意識障害(植物状態)に至った日から3月以上経過した日」になっているか。
- 診断書の表面⑨「現在までの治療内容、期間、経過、その他参考になる事項に「遷延性意識障害(植物状態)該当した日(起算日)が記入」されているか。

遷延性意識障害(植物状態)で障害年金の請求をサポートした事例集
弊所のサポートによって、障害年金の支給が認定された事例の一部をご紹介します。
障害年金を請求する際は、必要な知識を把握した上で、年金事務所に足を運び、正しい手順で手続きを進める必要があります。
障害年金の手続きは複雑で、一般の方には分かりにくい点も多いため、不安や疑問がある場合は、社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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