難治性不整脈(ペースメーカー・ICD)で障害年金を請求する方法かなみ社会保険労務士事務所

難治性不整脈(ペースメーカー・ICD)で障害年金を請求するために必要な障害認定基準、初診日の考え方、必要書類、診断書の注意点などを専門家が分かりやすく解説します。この記事では、難治性不整脈での障害年金請求の重要ポイントをまとめました。

1. 難治性不整脈の障害認定基準

障害年金に該当する心疾患の障害については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)があり、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 心疾患による障害」が定められています。

難治性不整脈の障害等級の目安

不整脈による障害は、主に心臓ペースメーカーまたは植込み型除細動器(ICD)の装着の有無、および不整脈による心機能の低下の程度で認定されます。

等級 障害等級の目安
1級
  • 常に安静が必要で、身の回りのこともほとんど自分ではできない状態
2級
  • 軽い動作でも強い息切れや倦怠感が出る。家事・通勤・入浴などの日常生活に大きな制限がでている状態
3級
  • ある程度の日常生活は自分で行えるが、労働に著しい制限がある状態
  • ペースメーカー・ICDを装着したもの

2. 初診日の考え方と障害認定日

2-1. 難治性不整脈における初診日

障害年金における初診日とは、「障害の原因となった傷病(難治性不整脈)のために、初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日」のことをいいます。難治性不整脈の場合、次のような日が初診日となるのが一般的です。

  • 動悸、息切れ、胸の痛みなどの自覚症状で循環器内科や内科などを受診した日
  • 健康診断や人間ドックで不整脈を指摘され、精密検査のため循環器内科を受診した日
  • 不整脈の原因となった基礎疾患(心筋症、虚血性心疾患など)で初めて病院を受診した日

初診日にどの年金制度(国民年金か厚生年金)に加入していたか、保険料納付要件を満たしているかなどを確認するため、初診日は非常に重要です。「受診状況等証明書」などで証明する必要があります。

※注意点
原則として65歳の誕生日の前々日までに初診日があることが必要です。例外として、65歳以降でも厚生年金に加入中に初診日がある場合は、障害厚生年金に限り請求が可能です。

2-2. 障害認定日について

障害年金では、初診日から1年6か月を経過した日が「障害認定日」となります。

  • 初診日から1年6か月を経過した時点の障害の程度で、障害等級に該当するかを判定
  • その時点で該当しない場合、「事後重症」として、請求時点の状態で障害等級に該当するかを判定

2-3.  障害認定日とペースメーカー・ICD

原則として障害認定日は「初診日から1年6か月を経過した日」ですが、ペースメーカーやICD手術を施した場合、手術日が障害認定日になるケースがあります。

  • パターン①:初診日から1年6か月「以内」にペースメーカーやICDを挿入した場合
    → ペースメーカーやICDを入れた日 = 障害認定日(この時点で請求可能)
  • パターン②:初診日から1年6か月「経過後」にペースメーカーやICDを挿入した場合
    → 初診日から1年6か月経過日 = 障害認定日(原則どおり)

ペースメーカーやICDをそう入・置換の手術をした場合、手術日と1年6か月経過日のどちらが障害認定日かで、請求のタイミングや遡及の可能性が変わることになります。

※注意点
事後重症請求の場合、65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。

3. 障害年金請求に必要な書類

難治性不整脈(ペースメーカー・ICD)で障害年金を請求する場合、一般的には次のような書類が必要です。

  • 障害年金請求書
    • 初診日に厚生年金加入 → 「国民年金・厚生年金保険障害給付」
    • 初診日が20歳未満、20歳以上65歳未満の国民年金 → 「国民年金障害基礎年金」
  • 診断書(循環器疾患の障害用・様式第120号の6-(1))
  • 病歴・就労状況等申立書(病歴や病状、生活・仕事への影響を時系列で記載)
  • 受診状況等証明書(初診医療機関)
  • 年金生活者支援給付金請求書

4. 診断書の重要ポイント

障害年金の結果は、診断書の内容に大きく左右されます。難治性不整脈(ペースメーカー・ICD)で障害年金を請求する際に重要となるポイントを押さえておきましょう。

4-1. ペースメーカー・ICD装着の場合

診断書裏面の「⑫疾患別所見」に、ペースメーカー、ICDの装着の有無・装着日の記載漏れがないか確認しましょう。

4-2. 心機能(心不全の程度)と検査データ

ペースメーカー、ICDを装着していない場合や、装着してもなお、日常生活や労働に著しい制限が残っている場合は、次のような項目がポイントになります。

  • NYHA心機能分類:心不全の重症度の程度
  • 医学的検査成績:心電図、心エコーなどの異常所見があるか
  • BNPなどの血液検査値:心不全の診断や重症度の程度

4-3. 一般状態区分表(日常生活動作)

診断書の裏面にある「一般状態区分表」の評価も重要です。

  • :軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行や軽労働はできる。
  • :歩行や身の回りのことはできるが、時に介助が必要で軽労働はできない。
  • :身の回りのことはある程度できるが、しばしば介助が必要になっている。
  • :身の回りのことはできず、常に介助が必要になっている。

医師に、医師に日常生活の実際の状況を正確に伝えることが大切です。

5. 難治性不整脈で障害年金を請求した事例集

当事務所による難治性不整脈(ペースメーカー・ICD)で障害年金を請求した事例の一部をご紹介します。各事例のリンクをクリックすると、詳しい解説ページへ移動します。

6. 最後に

本ページの内容は、難治性不整脈(ペースメーカー・ICD)で障害年金を請求する方法をまとめたものです。

障害年金の制度・診断書様式・運用は改正されることがありますので、実際に障害年金を請求される際は以下のような専門機関へ確認しながら進めることをおすすめします。

  • 最寄りの年金事務所での最新案内
  • 厚生労働省・日本年金機構の最新リーフレット
  • 障害年金に詳しい社会保険労務士

などに確認しながら進めることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の方の受給権や等級を保証するものではありません。ご自身のケースについては、必ず年金事務所や専門家にご相談ください。

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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