人工透析と障害年金

人工透析が必要になった場合、障害年金の対象となります。
人工透析で障害年金を請求するためのポイントや注意点を解説いたします。

腎疾患で障害年金の支給対象となる基準

腎臓の障害での障害認定基準では、次のようにされています。支給される障害年金額は等級別の障害年金の年金額をご参照ください。

等級 障害の程度
2級
  1. 内因性クレアチニンクリアランスの検査数値が20ml/分未満、または、血清クレアチニン検査数値が5mg/dl以上、かつ、以下のウまたはエに該当するものウ)歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているエ)身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となっている
  2. 人工透析療法施行中のもの

人工透析の場合、初診日の特定・証明が難しいケースが多い

障害認定基準に定められているように、人工透析療法中の場合には2級に該当するとしています。ただ、人工透析で障害年金を請求する場合、初診日を特定する証明を用意するのが困難な場合が多くあります。人工透析が必要になるまでには、通常は初診日から長い期間を経て悪化することが多いからです。

例えば、糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、腎孟腎炎などになり、その後に慢性腎不全(人工透析が必要)になった場合には、両者の期間がどれだけ長くても因果関係があるとして扱われています。

また、糖尿病が原因で長い期間を経てから人工透析が必要になることも珍しくはありません。この場合も糖尿病と人工透析は因果関係があるとして扱われます。

この結果、これらの腎炎の症状や糖尿病で最初に医師に診察を受けた日を初診日として扱われ、その日を初診日として障害年金を請求することになるのです。

しかし、これらの初診日は20年や30年も前になることも多くあり、初診日の証明が取れないといったことが出てくるのです。

初診日の証明は必ず必要です。

障害年金の認定において初診日は重要であり、初診日の証明がないまま請求してしまうと、初診日が不明で却下になってしまう可能性があります。

人工透析は障害年金2級の対象なのだから、初診日に国民年金でも厚生年金でも、請求すれば認めてもらえるなどと安易に考えないようにしてください。

初診日の証明(受診状況等証明書)

初診から請求時まで同一の医療機関に通院している場合はこの受診状況等証明書は必要ありません。初診の医療機関と現在通院している医療機関が異なる場合に必要な書類となります。

人工透析で障害年金を請求する方の多くは、初診から請求時まで数十年経過しているため、請求時の医療機関は初診時とは異なっていると思います。そのため、この受診状況等証明書が必要になってくる方が多いと思います。

初診日が数十年も前になると、医療機関へ受診状況等証明書を依頼しても、カルテが廃棄されており、受診状況等証明書を記入してもらえない場合があります(カルテの保存期限が5年となっているため)。

そのような場合には、次に転院した先の医療機関にカルテが保管されているかを照会します。そこにもカルテがなかった場合には、次の転院先へと順次照会していきます。

最終的にカルテが残っている医療機関で「受診状況等証明書」を書いてもらいます。

受診状況等証明書が添付できない申立書

最終的にカルテが残っている医療機関で「受診状況等証明書」を取得できました。それでは、カルテがなかった医療機関はどうするのでしょうか?

この場合、カルテがなく受診状況等証明書を取得できなかったという申立書「受診状況等証明書が添付できない申立書」をご自分で作成することになります。

受診状況等証明書が添付できない申立書で初診日が分かるのか

最終的にカルテが保存されていた医療機関で取得できた「受診状況等証明書」には、その医療機関を受診した日は分かるものの、最初の医療機関の初診日は記載されていないはずです。

カルテが保存されていなかった医療機関の「添付できない申立書」は、ご自分で作成した書類です。

その日付は、正確だったとしても、審査側はそれを信用してくれません。そのため、その医療機関を受診していたことが分かる客観的な参考資料を探し、「添付できない申立書」と一緒に提出する必要があります。

審査側が、「添付できない申立書」と「参考資料」を見て、「この時期に この症状で医療機関を受診していたんだ」と納得してもらえるかをご自分で考えてみてください。参考資料が何も用意されていない「添付できない申立書」だけで初診日が認められることはほとんどありませんので注意してください。

初診日を客観的に証明できる資料は…

受診状況等証明書を取得できなかった場合、障害年金の初診日を認めてもらうためには、客観的に初診日を証明できるような資料を探す必要があります。たとえば以下のようなものが残っていないか探してみましょう。

・身体障害者手帳申請時の診断書

診断書を記入した医療機関 市役所か都道府県庁の障害福祉課

・初診日頃に生命保険を請求している場合

生命保険会社の診断書

・診療録(カルテ)

受診状況等証明書を作成した医療機関

これら以外にも、何か客観的に証明となる資料が見つかるまで根気よく探す姿勢が必要です。

初診日が分からない場合

初診日を客観的に証明できる資料が見付からない場合は、次のような方法が可能か考えましょう。

初診日が一定の期間にあることが確認できる場合

初診日を具体的に特定できない場合でも、参考資料により一定の期間内に初診日があると確認された場合には、一定の条件の下で、請求者が申し立てた初診日を認められることがあります。

例えば、請求傷病の発生時期とされる始期と終期を特定し、どちらの時期においても保険料納付要件を満たしているなどの要件を満たす場合には、初診日が認められる可能性があります。

第三者証明を取得できる場合

初診日となる時期に医療機関で診療を受けていたことを第三者(請求者の民法上の三親等以外の親族)が証明した場合には初診日を合理的に推定するための参考資料とされる場合があります。

・第三者証明を行う者が、請求者の初診日頃の受診状況を直接的に見て認識していた場合

・第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求者の初診日頃に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていた場合

・第三者証明を行う者が、請求者や請求者の家族等から、請求時から概ね 5 年以上前に、請求者の初診日頃の受診状況を聞いていた場合

健康診断の受診日

平成27年10月1日以降は、「初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。」とされました。

しかし、これには例外があり、「初めて治療目的で医療機関を受診した日の受診状況等証明書が得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。」とされています。

つまり、健康診断の受診日を初診日として請求することも可能になります。

医療機関で初診日の証明が取れず、客観的な資料も準備できない場合には、この健診日を初診日として請求することも可能ですので、障害年金の請求を諦めないようにしたいものです。

いつから人工透析で障害年金を請求できるのか

初診日から1年6か月以内に人工透析療法を始めた場合

初診日から1年6か月を経過する前に人工透析療法を始めた場合には、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日に障害年金を請求することができます。必要となる診断書は、3月を経過した日から3ヵ月以内のものを用意して請求することになります。

初診日から1年6か月以降に人工透析療法を始めた場合

糖尿病や腎炎が原因で長い期間を経てからなど、初診日から1年6か月以降に人工透析が必要になった場合には、透析療法の開始から3ヵ月を待つ必要はありません。すぐに請求することができますので、透析療法を受けている病院に診断書の作成を依頼します。

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ご不安な方は、障害年金の専門家へ相談しましょう。

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末期腎不全(人工透析)で障害年金をサポートした事例集

当事務所が担当させていただいた案件を一部ご紹介いたします。

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