強迫性障害とうつ病は広汎性発達障害に起因 障害基礎年金2級を受給 | かなみ社会保険労務士事務所

| 奈良県奈良市

相談者の状況

小学生の頃から自己主張をしない、目立たない子どもでした。友だちと積極的に遊ぶことはなく、同級生が輪になっていてもその中に入ることができなかったそうです。

大学3年生の頃には、就職活動が不安になり、過呼吸から精神に不調をきたすようになりました。一人で電車に乗るのが恐くなり、母親の付き添いがなければ電車に乗ることができないようになりました。

大学卒業後に契約社員として就職しましたが、同僚や上司とのコミュニケーションがうまくとれず、臨機応変な対応やイレギュラーなことに対しての対応ができずにいました。マルチタスクが必要な作業も苦手で、決められた時間内でペース配分ができず、いくつかの手順を踏むような作業になるとミスが重なりました。複数の指示をされるとパニックになり、注意不足から単純なミスを繰り返していたため、契約期間は更新されることはありませんでした。

次に就職した職場でも同じようなことが続いていました。同じ頃、発達障害に関するテレビ番組を見て、自分も発達障害だと確信し、病院で発達検査を受けました(広汎性発達障害と診断)。

発達検査を受けた頃からトイレの回数が多くなり、それに伴って手洗いに非常に時間がかかるようになります。歯磨きに30分以上かかり、シャワーは4時間以上かかるなど、強迫性症状が強まるようになりました。手洗いとトイレで日中のほとんどの時間を使うようになり、疲労感が強まるようになりました。気分も落ち込むようになり、自宅で引きこもりのような状態になっていました。

受任から申請(請求)までに行ったこと

精神の疾患は多種で、かつ、同一疾患であっても症状は様々あるため、障害年金では初診日の扱いが定められています。

申請(請求)人は、強迫性障害とうつ病、広汎性発達障害が併存していると考えました。

発達障害と診断されていた者に後からうつ病や神経症(強迫性障害)を併発した場合は、発達障害が起因してうつ病を発症したものとされ「同一疾患」として扱われます。問題は、神経症(強迫性障害)の場合、症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならないとされている点でした。ただ、臨床症状から精神病の病態を示しているものについては、認定の対象とされているため、医師に確認をしたところ、強迫性障害とうつ病は広汎性発達障害が起因したものであるため、診断名は「広汎性発達障害」で記載すると説明がありました。このため、診断書を依頼する際には、広汎性発達障害によって日常生活で支障を受けていることを伝えました。

結果

年金種類と等級;障害基礎年金2級

年金額:年額780,000円 遡及金額3,900,000円(5年遡及)

その他

>>> 障害認定基準 精神の障害

>>> 広範性発達障害(ADHD・ASD)で障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説

>>> 知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合

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