発達障害(広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)と障害年金

発達障害は広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)・自閉症などがありますが、これらの発達障害でも日常生活や労働に支障が出ていれば障害年金を受給できる可能性があります。

障害年金での代表的な発達障害

発達障害はいくつかのタイプがありますが、これら発達障害の場合、幼少期には気付かない場合でも成長するにつれて本人が生きにくさを感じることで障害に気付く場合があります。障害年金の請求で多い発達障害のタイプを下記に挙げてみます。

自閉症

自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されています。

高機能自閉症

高機能自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいいます。

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものであるといわれています。なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害に分類されています。

発達障害の障害年金認定基準は

発達障害における障害年金認定基準は次のようになっており、それぞれの等級によって支給額が決まります。※3級は障害厚生年金のみ 支給される障害年金額は等級別の障害年金の年金額をご参照ください。

等級 障害の程度
1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

◎発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。 また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱は行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

◎発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。

◎日常生活の能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

発達障害で障害年金を請求する際のポイント(初診日)

幼少期に、子供のことを心配した両親が、医師の診察を受けるために子供を受診させていた場合には、その時が初診日となり、20歳前傷病として障害基礎年金として請求することになります。

逆に、幼少期から発達障害の特徴である症状が出ていたとしても、そのときには受診せず、20歳以降になって初めて医師の診察を受けた場合は、その20歳以降に「医師の診察を受けたその日」が初診日となります。

例えば、学校等を卒業して会社で働き始めたものの、社会性やコミュニケーション能力が乏しいことを自覚し、発達検査や医師の診察を受けたというような場合。この場合で在職中で厚生年金に加入しているならば、障害厚生年金での請求となる訳です。

ただし、発達障害でも知的障害をともなう時は、初診日が「0歳」とされ、障害基礎年金での請求とされますので注意しておきたいものです。

初めての受診が
20歳前にある時
20歳前の初診日
(障害基礎年金での請求)
初めての受診が
20歳後にある時
20歳後の初診日
(初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金での請求)
知的障害を
ともなっている場合
0歳が初診日
(障害基礎年金での請求)

発達障害と他の精神疾患が併発している場合の初診日は

発達障害と別の精神疾患が併発しているケースもよくあることです。一部例示すると以下のように扱われます。

◎発達障害と診断された方が、うつ病などの他の精神疾患を併発した場合は、同一疾病と考えられ、発達障害で初めて受診した日が初診日と扱われる。

◎うつ病などの精神疾患診断されていた方が、後から発達障害だと分かった場合は、診断名の変更であるとみなされ、うつ病等の精神疾患で初めて医師の診察を受けた日が初診日と扱われる。

◎知的障害である者が、後からうつ病となった場合には、先天性の障害とされ、初診日が「0歳」と扱う。

上記にあげたものは一例であり、実際にはいろいろなケースがあり、取扱いも異なることもあります。発達障害と他の精神疾患が同一疾病として扱われるのか、または、別の疾病として扱われるのかによって、初診日や障害認定日も違ってきますし、請求するための書類も変わってきますので、ご注意ください。

障害年金の請求で必要な書類(受診状況等証明書)

初診から請求時まで同一の医療機関に通院している場合はこの受診状況等証明書は必要ありません。初診の医療機関と現在通院している医療機関が異なる場合に必要な書類となります。

例えば、先ほどの事例で、うつ病などの精神疾患診断されていた方で、転院後に後から発達障害だと分かった場合は、最初にうつ病で受診した医療機関で初診日を証明する書類(受診状況等証明書)を作成してもらいます。

障害年金の請求で必要な書類(診断書)

発達障害で障害年金を請求する場合、精神の障害用の診断書が必要となります。診断書には、日常の生活能力を判定する欄があります。

普段から医師と十分なコミュニケーションを取れているなら良いのですが、日常の生活状況を的確に伝え切れていない場合には注意が必要です。本人が考えている状況と医師が作成した診断書に記載した状況とが食い違う可能性が出てくるからです。

診断書に記載されている日常生活能力の判定には、以下の7項目があります。

日常生活能力の判定

適切な食事 配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど
身辺の清潔保持 洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の清掃や片付けができる など
金銭管理と買い物 金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど
通院と服薬 規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるなど
他人との意思伝達及び対人関係 他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動を行えるなど
身辺の安全保持及び危機対応 事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適切に対応することができるなど
社会性 銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また社会生活に必要な手続きを行えるなど

少なくともこれらの項目については、医師に話をしておきましょう。

発達障害が原因でどれだけ社会性やコミュニケション能力が乏しく、そのことで日常生活や社会行動でどのような問題が出ているのか。他の精神疾患をともなっている場合は、普段の生活状況はどういったものになっているのかを医師には話しておきたいものです。

診察時間が少なくて伝えることができない場合は、診断書依頼時に普段の生活状況などを記載しておき医師に手渡しても良いかと思います。

障害年金の請求で必要な書類(病歴・就労状況等申立書)

発達障害の場合、生まれた日から、初めて医師の診察を受けた時の経緯、現在までの経過を整理して、年月順で記入していきます。

これには通院期間や入院期間、医師から指示された事項、受診していなかった期間には、なぜ受診をしなかったのかなどを具体的に記入していきます。

診断書は現在の病状を表すもので、病歴・就労状況等申立書はこれまでの病状の経過を表すものと言えます。

また、この病歴・就労状況等申立書には、日常生活でどんなことで困っているのかを記入する項目もあります。請求書類の中で請求者が審査側に主張できる箇所でもあります。

特に発達障害で障害年金を請求する場合、社会行動やコミュニケーション能力の障害によって、対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないという事例が多々あるかと思います。

小さいことでもいいですので、できる限りの事を審査側に伝えておきたいものです。

病歴・就労状況等申立書の記入方法はこちら

障害年金を請求する時に就労している場合

発達障害の障害年金認定基準では就労に関して以下のように記載されています。

「就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。」

障害年金を請求する時に就労している場合には、診断書や病歴・就労状況等申立書などに上記の内容を審査側に十分伝えることが重要になります。

可能ならば、現在就労している職場の上司や同僚などに、職場での状況などを文書にしてもらえればなお良いでしょう。

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