慢性疲労症候群で障害年金を申請(請求)する方法やポイントを解説 | かなみ社会保険労務士事務所

慢性疲労症候群により日常生活に著しい支障が出ている場合にも障害年金の対象となります。
ここでは、慢性疲労症候群になった場合の障害年金の基準や申請(請求)手続きのポイントを解説します。

慢性疲労症候群による障害年金の等級

慢性疲労症候群の障害年金の等級は次のようになります。

それぞれの等級によって支給額が決まります。※表中の症状は例示です。

等級 障害の程度
1級 治療を行っても、高度の全身倦怠感、易疲労、軽微な労作で著しく遷延化する疲労感、咽頭痛などの症状が強いために終日臥床状態となっている場合
2級 治療を行っても、高度の全身倦怠感や微熱、筋肉痛などの症状が続いており、日中の大半は横になっていることが多い場合
3級 治療を行っても、激しい疲労感、記憶力低下、脱力、微熱、 頚部リンパ節の腫大などの症状が続き、軽作業は可能だが、週に数日は休息が必要な場合

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障害年金の申請(請求)の進め方

慢性疲労症候群で障害年金を申請(請求)する場合、手続きの進め方は次のようになります。

  1. 初診日を調べる
  2. 受診状況等証明書」取得する
  3. 病歴・就労状況等申立書」作成する。
  4. 診断書(血液・造血器・その他)の障害用」の作成を病院に依頼する。

具体的な手順はこちらのページで解説していますので、ご確認ください。

慢性疲労症候で障害年金を申請(請求)する際のポイント

ポイント1 慢性疲労症候群の初診日は

障害年金では、「初診日」を基準にして受給要件を満たしているのか確認されるため、「初診日」を特定することが重要になります。

慢性疲労症候群の場合、確定診断ができるまで様々な医療機関を受診しているために、初診日を明確に特定することが困難な場合があります。このような場合、自覚症状を感じたのはいつ頃で、これまで受診してきた医療機関の整理をすることから始めていきましょう。

ポイント2 診断書にPerformance statusが記載されているか

慢性疲労症候群で障害年金を申請(請求)する際に使用する診断書は「診断書(血液・造血器・その他)の障害用」になります。

慢性疲労症候群は、旧厚生省研究班の重症度分類で PS0~PS9に分類されていますので、障害年金を申請(請求)する場合には診断書の⑨欄に重症度分類(Performance status)が記載されているか、慢性疲労症候群照会様式を診断書に添付する必要があります。


・Performance status による疲労/倦怠の程度

PS0 倦怠感がなく平常の社会(学校)生活ができ、制限を受けることなく行動で きる。
PS1 通常の社会(学校)生活ができ、労働(勉強)も可能であるが、疲労感を感ずるときがしばしばある。
PS2 通常の社会(学校)生活ができ、労働(勉強)も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である。
PS3 全身倦怠感のため、月に数日は社会(学校)生活や労働(勉強)ができず、 自宅にて休息が必要である。
PS4 全身倦怠感のため、週に数日は社会(学校)生活や労働(勉強)ができず、自宅にて休息が必要である。
PS5 通常の社会(学校)生活や労働(勉強)は困難である。軽作業は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
PS6 調子のよい日には軽作業は可能であるが週のうち 50%以上は自宅にて休息が必要である。
PS7 身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会(学校)生活や軽労働(勉強)は不可能である。
PS8 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50% 以上は就床している。
PS9 身の回りのこともできす、常に介助がいり、終日就床を必要としている。

ポイント3 一般状態区分の評価も重要です

慢性疲労症候群で障害年金を申請(請求)する際は、重症度分類( PS0~PS9)以外にも一般状態区分表(診断書⑫欄)も重要になります。

無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

ポイント4 Performance statusと一般状態区分表の関連

障害年金の認定は、Performance statusと一般状態区分が重要視されます。

Performance statusと一般状態区分表のみに着目したおおよその障害年金の等級は次のようになります。

等級 障害の程度
1級の可能性あり
  • PS9かつ一般状態区分(オ)
  • PS8かつ一般状態区分(エ)
2級の可能性あり
  • PS8かつ一般状態区分(ウ)または(エ)
  • PS7かつ一般状態区分(エ)
3級の可能性あり
  • PS6かつ一般状態区分(イ)または(ウ)
  • PS5かつ一般状態区分(ウ)
  • PS4かつ一般状態区分(ウ)

障害の等級はあくまで参考です。個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されますので、目安とは異なる認定結果となることもあります。

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慢性疲労症候群で障害年金の申請(請求)をサポートした事例集

弊所が担当させていただいた案件を一部ご紹介いたします。

慢性疲労症候群(線維筋痛症)で障害基礎年金2級が決定

全身の倦怠感や疲労感が慢性的に続いていた。次第に肘や肩、指などの関節に原因不明の痛みを感じるようになった。痛みによってさらに疲労感や倦怠感が増し、徐々に意欲が低下するようになっていた。

医師から線維筋痛症に合併した慢性疲労症候群であると診断された。
慢性疲労症候群か線維筋痛症のどちらで請求するかが悩ましい問題だった。

医師によると線維筋痛症で診断書は記入できないという話があったため、慢性疲労症候群での請求となった。

慢性疲労症候群の重症度分類はPS8相当(身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している)だった。

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