感音性難聴で障害年金を請求する方法を解説 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求を代行

感音性難聴により日常生活や労働に著しい支障が出ている場合、障害年金の対象となる可能性があります。障害年金を請求するためには、初診日や疾病の状態などの情報が求められ、正確に手続きを行うことが大切です。ここでは、感音性難聴の障害認定基準、必要な書類や手順、注意すべきポイントについて詳しく解説いたします。

感音性難聴の障害認定基準

障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に定められており、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」が定められています。

ここでは、障害認定基準から、「聴覚の障害の障害認定基準」をご紹介します。

等級 障害の程度
1級 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
2級 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの


両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のもの

3級 両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上のもの


両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が50%以下のもの

障害手当金 一耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のもの

障害年金の請求手順

感音性難聴による障害年金の請求手続きは、以下のような手順で進めます。

  1. 初診日を調べる
  2. 年金事務所などで「保険料納付要件」を満たしていることを確認する
  3. 受診状況等証明書を取得する
  4. 病歴・就労状況等申立書を作成する
  5. 診断書を取得する
  6. その他必要書類を揃える
  7. 年金事務所などに年金請求書を提出する

受診状況等証明書の取得

障害年金を受給するには、障害の原因となる傷病が発生する前に、年金保険料を一定期間納付していることなどが支給要件となるため、初診日が非常に重要になります。

感音性難聴は、症状の進行が遅く、障害年金を請求する頃には初診日の証明が取れない場合が多くあります。

「初診日」は自己申告ではなく、客観的な資料によって証明します。初診日を客観的な資料で特定できない場合でも、他の資料を提出することで認められる可能性があります。

重要なことは、初診日が曖昧なまま障害年金を請求しないことです。

「初診日」の取り扱いについては、以下のリンク先に詳しく掲載していますのでご参照ください。

>>> 障害年金 受診状況等証明書(初診日証明)の取得方法
>>> 障害年金 初診日の証明ができないとき

障害年金の初診日に関する調査票

感音性難聴で障害年金を請求する場合、「初診日に関する調査票(以下、「調査票」)」の提出を求められることがあります。

「調査票」には、幼児期に家族から又は学校の健康診断等で、何か言われて医療機関に行ったことがあったのか、「聴力が落ちてきたことに気づいた時期」「中学卒業頃から数年ごとの聴力の数値(分かる範囲での)など、幼少期に医療機関を受診したことはないか確認するための資料となります。

幼少期に具体的な症状が出現し、医療機関を受診していたなら20歳前に初診日のある障害基礎年金での申請(請求)となりますが、それが成人以降の場合で、初診日に厚生年金の被保険者であった場合には障害厚生年金での申請(請求)となります。

「調査票」や「病歴・就労状況等申立書」によって初診日が幼少期になかったのか確認されることになりますので慎重に記入する必要があります。「症状が悪いということをアピールしたい」からと、幼少期から聴力が特別に悪かったという、事実と異なるようなことを記入することは意味がありません。

病歴・就労状況等申立書の作成

病歴・就労状況等申立書」は、診断書や受診状況等証明書とともに、障害の認定において非常に重要な書類です。この書類は、診断書などが一時的な状況を示す「点」であるのに対し、発病から現在までの流れを記載する「線」の役割を持ちます。

発病から初診に至るまでの経緯や初診から現在までの治療経過、現在の病状や日常生活の状況などを具体的に記載することが重要です。原則として5年ごとに区切って記載しますが、転院歴がある場合は通院した病院ごとに記載します。専門用語ではなく、具体的なエピソードや個別の状況を記載していきます。

初診の医療機関で「受診状況等申立書」を取得できなかった場合は、「病歴・就労状況申立書」も非常に重要になりますので、初診日頃の状況を丁寧に記載します。

さらに詳しく >>  病歴・就労状況等申立書の記入方法

診断書を取得

感音性難聴で障害年金を請求する際に使用する診断書は「診断書(聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用)」になります。

聴力レベル(db)と最良語音明瞭度の数値は障害の程度に関わる項目ですので、それらが障害認定基準を満たしているのか確認する必要があります。

また、障害年金を受給していない方で、両耳の聴力レベルが100db以上となる場合は、脳性脳幹反応検査(ABR等)の検査が必要になります。

感音性難聴で障害年金をサポートした事例

弊所のサポートによって、障害年金の支給が認定された事例の一部をご紹介します。

障害年金を請求する際は、必要な知識を把握した上で、年金事務所に足を運び、正しい手順で手続きを進める必要があります。

障害年金の手続きは複雑で、一般の方には分かりにくい点も多いため、不安や疑問がある場合は、社会保険労務士に相談することをおすすめします。

 

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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