問診表と健康保険医療費通知書により初診日を証明 両側性感音難聴で障害厚生年金1級を受給 | かなみ社会保険労務士事務所

| 大阪府豊中市A様

相談者の状況

両側性感音難聴で障害厚生年金を申請(請求)されましたが、「初診日が厚生年金保険の被保険者であった期間であることを確認することができない」として却下されていました。

審査請求を希望され、弊所へお問い合わせをいただきました。

保有個人情報開示請求を行う

審査請求を受任するにあたり、申請(請求)時の書類を確認する必要がありましたが、書類の写しを撮っておらず、「却下」された理由が分かりませんでした。

このため、審査状況を確認することを含めて、保有個人情報開示請求を行うことにしました。

保有個人情報開示請求を行なって1ヶ月後、申請(請求)書類を取得でき、障害状態認定表も確認することができました。

障害状態認定表には、「発病:初診日不明却下」「厚年 期間外認定」「20歳前障害か!!」とされており、病歴・就労状況等申立書には「高校入学当時、健康診断の聴力検査でやや難聴と診断を受けていた」との記載がありました。

病歴・就労状況等申立書の記載内容から「20歳前傷病」であるとされ、却下されたのです。

受任から申請(請求)までに行ったこと

本人申請(請求)時に提出した書類は次のようなものでした。

両側性感音難聴の病歴

治療期間 医療機関 左の期間の症状
0歳〜20歳 高校入学当時、健康診断の聴力検査でやや難聴と診断を受けていた。
20歳〜48歳 就職に際して健康診断の聴力検査でやや難聴と診断を受けていた。

48歳の時に就労に支障をきたす位の聴力を自覚。同時に耳鳴りがあり、補聴器の着用を考慮するようになった。

48歳 A耳鼻咽喉科医院 自宅近辺のA耳鼻咽喉科医院を受診。B市民病院を紹介された。
48際 B市民病院 聴力障害6級と診断を受け、障害者手帳が交付された。補聴器を着用することになった。

受診状況等申立書

A耳鼻咽喉科医院の診療録は廃棄されており、B市民病院で受診状況等証明書を取得されていました。

受診状況等証明書には、「10歳代より両側難聴が進行しており、精査するも原因不明であった」と記載されており、A耳鼻咽喉科医院の紹介状が添付されていたものの、「6ヶ月前より両側難聴・耳鳴りがあった」と記載されているだけでした。

審査請求を受任

書類上から申請(請求)人の初診日は「20歳前」として決定されたことは当然だと思いました。しかし、申請(請求)人は「やや難聴と指摘されていただけで病院を受診したことはなかった」と主張していました。

このため、48歳の時にA耳鼻咽喉科医院を受診した日が初診日であると主張して審査請求を行うことになりました。

健康保険給付通知書と診療録の開示請求を行う

申請(請求)人が加入していた健康保険組合から健康保険給付通知書の開示請求を行いました。

健康保険給付通知書によって健康保険組合の加入中に受診した医療機関を確認することができます。

B市民病院の初診日は受診状況等証明書によって証明されていましたが、通知書によってA耳鼻咽喉科医院の受診年月を確認することができました。

A耳鼻咽喉科医院の受診年月は「2008年9月」です。通知書では「2000年5月」に受診した医療機関から記載されており、「2000年5月から2008年9月」までの8年間に耳鼻科を受診した履歴はありません。

 

次に、B市民病院の診療録の開示請求を行いました。B市民病院には検査入院をしていたことから、これまでの聴力の経過を医師や看護師に話しており、それが記録されている可能性が高いと考えていました。

B市民病院の初診日から入院中の診療録を取得したところ「耳鼻咽喉科問診票」に次のような記載がありました。

Q1.本日はどんな症状でこられましたか?

  1. どこが (耳)
  2. いつからですか (初めは高校1年(16才))
  3. どのような症状ですか (難聴)

Q2.今まで耳鼻科の治療を受けたことがありますか?

ない

 

審査請求では「健康保険給付通知書」と「耳鼻咽喉科問診票」を提出しました。

「健康保険給付通知書」によって「2000年5月から2008年9月」の8年間に耳鼻科を受診していないこと。

「耳鼻咽喉科問診票」によって、16歳で難聴を指摘されていると記載しているにも関わらず、「今まで耳鼻科の治療を受けたか」との問いかけに、事実とは異なる回答をするということは通常考えられないこと。申請(請求)人が障害年金の申請(請求)を想定していない時期(10年前)に、医師に対して虚偽の病歴を申し立てることは通常ありえないことだと主張しました。

最終結果

審査請求から約6ヶ月後、「処分を取り消す」という決書が送付されました。

年金種類と等級;障害厚生年金1級

年金額:年額1,830,000円

その他

>>> 障害認定基準 聴覚の障害

>>> 障害年金 初診日の証明ができないとき

>>> 保有個人情報開示請求の方法

>>> 障害年金の不服申立て( 審査請求・再審査請求)の流れとポイントを解説

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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実際にご依頼されていかがでしたか?

先生との御縁に感謝の一言です。私ではどれだけ時間をかけても却下の結果だったと思います。かなり不利で複雑な案件にも先生の尽力のお陰で容認頂き今迄ハンディを抱えながらも様々な事に絶え歩んで来た事が救われました。先生のきめ細やかな配慮の下とても心強かったです。本当に有り難うございました。

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