糖尿病と腎不全は因果関係あり!25年前の糖尿病の初診日をどのように特定するのか | かなみ社会保険労務士事務所

| 兵庫県伊丹市

糖尿病から腎不全に至る経過

両親が相次いで病気を患って入院することになった。

両親の看病と仕事の両立で心労と疲労が蓄積されるが、休息をしても疲労は回復せず、倦怠感を常に感じていた。

入院先の病院の看護師に体調が悪いことを伝えると検査を受けるように勧められた。

平成8年10月14日にA病院を受診して血液検査を受けたところ糖尿病と診断された。食事指導とインスリン治療のために1ヶ月間入院し、その後はインスリンの処方を受けるために定期的に通院していた。

A病院の初診から4年後(平成13年頃)にB病院に転院。

B病院が廃院することになり、C病院に転院(平成19年5月25日)したが、医師と相性が合わず、D病院に転院してインスリン治療を続けていた。

D病院では定期的に検査も受けていたが、平成29年6月頃に腎臓機能が急速に低下していると指摘され、E病院を紹介された。

平成29 年7月25日にE病院を受診。血清クレアチニン値が悪く経過観察を受けることになった。(糖尿病の治療はD病院で行う)。

障害年金の申請(請求)時は、血清クレアチニン値が中等度異常の数値であり、障害厚生年金3級程度の障害だった。

受診歴

医療期間名 治療期間 病名
A病院 平成8年10月14日 〜 平成13年 糖尿病
B病院 平成13年       〜   平成19年5月24日 糖尿病
C病院 平成19年5月25日 〜   平成20年8月8日 糖尿病
D病院 平成20年8月9日  〜 通院中 糖尿病
C病院 平成29年7月25日   〜 通院中 腎不全

初診日の特定

糖尿病が原因で腎不全となっている場合、障害年金では「糖尿病と腎不全は因果関係あり」とされ、糖尿病で最初に医師の診察を受けた日を初診日として扱われる

請求人の糖尿病の初診日は約25年前の平成8年頃であり、初診日(時期)の特定は難解になると考えられた。
障害年金で初診日を特定する書類が「受診状況等証明書」である。

A病院とB病院のカルテは既に廃棄されていたために「受診状況等証明書」を取得することができず、C病院で取得することができた。

C病院の「受診状況等証明書」にB病院からの紹介状が添付されていたが、糖尿病の発病時期や初診日(時期)は記載されていなかった。
このため、C病院の看護記録等に初診時期が記載されていないか確認するため、C病院でカルテ開示を行ったところ、C病院から転院先のD病院にあてた紹介状が保管されていた。

そこには「28歳で糖尿病を指摘」「B病院から紹介されたこと」「B病院の前はA病院を受診していたこと」などが記載されていた。

これらはD病院への転院時に聴取された内容であり、障害年金の申請(請求)よりも約15年前のことであった。

初診時期は特定できたが…

初診日分かりますか

C病院のカルテ開示によって初診時期が「28歳」であると特定できたが、さらに難解な問題がでてきた。

請求人が28歳であった1年間は「国民年金」と「厚生年金」の加入期間が混在している年であり、障害年金はどちらの制度での申請(請求)するのか明確にする必要があった。

さらに、請求人の障害の程度は3級程度になることが予測されたため、障害厚生年金として申請(請求)する必要があり、初診日を特定する必要があった。

A病院の主治医の「第三者の申立書」が可能かどうか、健康保険組合の記録を調査するが、どちらも情報を取ることができず、初診日の特定が非常に困難になっていた。

請求人にも自宅に資料が残っていないか確認してもらっていたところ、A病院の診察券が自宅から発見され、診察券の裏面に「発行日:平成8年10月4日」と記載されていた。

初診日の申立書を添付して障害年金の申請(請求)を行う

障害年金の申請(請求)時は、初診日を特定に関して、次のような申立書を添付。

  1. 障害年金の申請(請求)時の5年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等)に請求者申立ての初診日が記載されている場合には初診日とすることができること。
  2. 障害年金の申請(請求)の5年以上前である平成20年8月8日に、「28歳で糖尿病を指摘」と請求人は医師に伝えている。このことからC病院からD病院宛の紹介状は「初診日認定適格資料」であり、28歳のいずれかの日に初診日があるとされる。
  3. 紹介状には、B病院より紹介されたこと、それより以前はA病院にかかっていたことが記載されている。
  4. A病院の診察券の裏面に「発行日:平成8年10月4日」と記載されており、平成8年10月4日は28歳の期間になる。
  5. 「平成8年10月4日」は厚生年金加入期間であり、年金保険料納付要件を満たしている。

これらのことから、初診日は「平成8年10月4日」であるとして障害厚生年金の申請(請求)を行った。

初診日不明として却下される

障害年金の申請(請求)から約3ヶ月後に「初診日不明却下」の通知書が送付される。

初診日を特定できたことで障害年金を申請(請求)しており、このような結果になるとは考えていなかった。

日本年金機構が出した決定(却下)に不服申し立てをすることになった。

個人情報開示請求を行う

審査請求を行うにあたり、審査状況を確認するために個人情報開示請求を行った。

>>> 保有個人情報開示請求の方法

認定調書には、C病院の平成20年8月8日作成の診療録に「28歳で糖尿病を指摘」「診療情報提供書や診察券等の記載」により、本人申立初診日を「平成8年10月4日」とみてよいかという質問に、「始期を28歳誕生日 終期を29歳の誕生日前日となる。この期間は制度混在の期間であり、厚生年金期間中に初診日があると特定できない」と記載されていた。

審査請求を行う

糖尿病が原因で腎不全となっている場合、「糖尿病と腎不全は因果関係あり」とされ、糖尿病で最初に医師の診察を受けた日を初診日として扱われる。請求人の糖尿病の初診日は約25年前の平成8年頃であり、初診日(時期)の特定が難解になると思われた。
初診日を特定する書類が「受診状況等証明書」である。A病院とB病院のカルテは既に廃棄されていたために「受診状況等証明書」を取得することができず、C病院で取得することができた。C病院の「受診状況等証明書」にはB病院からの紹介状が添付されていたが、糖尿病の発病時期や初診日(時期)は記載されていなかった。
C病院のカルテ以外の看護記録等に初診時期が記載されていないか確認するため、C病院でカルテ開示を行ったところ、C病院からD病院宛の紹介状が保管されていた。そこには「28歳で糖尿病を指摘」「B病院から紹介されたこと」「B病院の前はA病院を受診していたこと」などが記載されていた。これらはD病院に紹介する際に聴取された内容であり、障害年金の請求よりも約15年前のことであった。請求人が28歳であった1年間はすべて厚生年金の加入期間であり、年金保険料納付要件も満たしていた。さらに、A病院の診察券が自宅から発見され、診察券の裏面に「平成8年10月4日」と記載されていた。

これらの資料を元に初診日を「平成8年10月4日」であると特定し、障害厚生年金を申請(請求)した。

初診日を確認する際の留意事項には、「初診日の確認に当たっては、初診日の医証がない場合であっても、2番目以降の受診医療機関の医証などの提出された様々な資料や、傷病の性質に関する医学的判断等を総合的に勘案して、請求者申し立てによる初診日が正しいと合理的に推定できる場合は、請求者申立ての初診日を認めることができることとする。」とされている。

診察券の交付日が初診日を特定する資料とされなかったことに不服を申し立て、さらに「平成8年10月4日」を特定する資料がないか確認することにした。

A病院を受診した際に、食事指導とインスリン治療のために1ヶ月間入院していたことに着眼し、請求人に生命保険の入院給付金を請求していないか確認したところ、〇〇〇生命保険の入院給付金を受け取っていたことを思い出された。

〇〇〇生命保険に確認すると、入院給付金の診断書が保管されており、「平成8年2月 健康診断にて糖尿病の疑いを指摘」「平成8年9月全身倦怠感」「平成8年10月4日初診」と記載されていた。

処分の取り消し 障害厚生年金3級が支給される

審査請求から約6ヶ月後、社会保険審査官から「日本年金機構が処分を変更した」「平成8年10月4日を初診日とし、厚生年金を支給する」という連絡が入った。

不服が解消されたことから「審査請求の取下げ書」を提出。障害厚生年金3級が支給された。

このページTOPへ