アルツハイマー型認知症で障害年金を請求する方法 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求を代行

アルツハイマー型認知症で障害年金を請求するために必要な障害認定基準、初診日の考え方、必要書類、診断書の注意点などを専門家が分かりやすく解説します。この記事では、アルツハイマー型認知症での障害年金請求の重要ポイントをまとめました。

1. アルツハイマー型認知症の障害認定基準

障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)があり、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 精神の障害」が定められています。

アルツハイマー型認知症を含む認知症は、「症状性を含む器質性精神障害」として認定されます。認知障害(記憶障害、見当識障害など)や人格変化などが、日常生活や労働にどの程度支障をきたしているかが判断の基準となります。

1-1. 認知症の認定基準(目安)

等級 障害の状態の目安
1級
  • 高度の認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの。
2級
  • 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの。
3級
  • 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
  • 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの

2. 初診日の考え方と障害認定日

2-1. アルツハイマー型認知症における初診日

障害年金における初診日とは、「認知症の症状のために、初めて医師の診療を受けた日」を指します。
アルツハイマー型認知症の場合、ご本人に自覚がないことも多く、ご家族が異変に気づいて受診させるケースが一般的です。

  • 「最近物忘れがひどい」「性格が変わった」等の理由で精神科・心療内科・脳神経外科・もの忘れ外来を受診した日
  • 内科のかかりつけ医に相談し、専門医への紹介状を書いてもらった場合、その内科に相談した日が初診日となる可能性があります。
※注意点
原則として65歳の誕生日の前々日までに初診日があることが必要です。例外として65歳以降でも会社等に勤務し厚生年金に加入中に初診日がある場合は、障害厚生年金に限り請求が可能なケースがあります(老齢年金の受給状況等によります)。

2-2. 障害認定日について

初診日から1年6か月を経過した日が「障害認定日」となります。

  • 障害認定日に既に障害の程度に該当していれば
    障害認定日請求(遡っての請求)を行うことができます。
  • 障害認定日時点では障害の程度に該当しておらず、その後悪化した場合は
    事後重症請求として、請求日以降からの支給になります。

3. 障害年金請求に必要な書類

アルツハイマー型認知症で障害年金を請求する場合、一般的には次のような書類が必要です。

  • 障害年金請求書
  • 診断書(精神の障害用・様式第120号の4)
  • 病歴・就労状況等申立書
    • 発病から現在までの日常生活の状況、就労状況、通院歴などを本人または代理人が記述します。
  • 受診状況等証明書(初診日の医療機関が現在の医療機関と異なる場合)
  • 年金生活者支援給付金請求書

4. 診断書の重要ポイント

障害年金の結果は、診断書の内容に大きく左右されます。アルツハイマー型認知症で障害年金を請求する際に重要となるポイントを押さえておきましょう。

4-1. 診断書の記載項目

診断書では、次のような記載項目があります。

  • 傷病名
  • 発病時期・初診日・発病からの病歴
  • 病状の程度や症状・処方薬
  • 生活環境・福祉サービスの利用状況
  • 日常生活能力の程度・日常生活能力の判定
  • 就労状況

4-2. 日常生活能力の程度・判定

精神の障害の認定では、診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」の記載が等級の目安として重視されています。

  • 日常生活能力の判定」は、食事・身辺の清潔保持・金銭管理と買い物・通院と服薬・対人関係・危機対応・社会性の7項目について、どの程度の援助が必要か4段階で評価されます。
  • 日常生活能力の程度」は、7項目(食事や掃除など)を総合して、「全体としてどのぐらい障害があるのか」 を評価されます。

日常生活能力の判定と程度の図解

4-3. 医師への伝え方

医師に診断書を依頼する際には、ご家族が「家でのありのままの状態」を伝えることが非常に重要です。

  • 「実は、火を消し忘れてボヤ騒ぎになりかけた」
  • 「一人で買い物に行くと、同じものばかり大量に買ってくる」
  • 「入浴を嫌がり、着替えも手伝わないとできない」

といった具体的なエピソードをメモにまとめて医師に渡すと、実態に即した診断書を作成してもらいやすくなります。

5. アルツハイマー型認知症で障害年金を請求した事例集

当事務所によるアルツハイマー型認知症で障害年金を請求した事例の一部をご紹介します。各事例のリンクをクリックすると、詳しい解説ページへ移動します。

50代男性 アルツハイマー型認知症で障害厚生年金2級を受給

障害等級:障害厚生年金2級/事後重症請求

概要:「会議の内容を忘れる」「前日の仕事が思い出せない」記憶力の低下とうつ病で働くことが難しくなった方の受給事例。短期間での離職を繰り返す厳しい状況から、障害厚生年金2級が認められました。

60代女性 就労実態の証明により障害厚生年金2級(請求日1級)が認定

障害等級:障害厚生年金2級/障害認定日請求

概要:会社上司に「実態は労働能力が失われており、多大な配慮の下で雇用している」ことを詳細に証明していただきました。就労中であっても障害の状態にあると認められ、障害厚生年金2級(請求日1級)が認定されました。

6. 最後に

本ページの内容は、アルツハイマー型認知症で障害年金を請求する方法をまとめたものです。

障害年金の制度・診断書様式・運用は改正されることがありますので、実際に障害年金を請求される際は

  • 最寄りの年金事務所での最新案内
  • 厚生労働省・日本年金機構の最新リーフレット
  • 障害年金に詳しい社会保険労務士

などに確認しながら進めることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の方の受給権や等級を保証するものではありません。ご自身のケースについては、必ず年金事務所や専門家にご相談ください。

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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