高次脳機能障害で障害年金を請求する方法 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求を代行

高次脳機能障害で障害年金を請求するために必要な障害認定基準、初診日の考え方、必要書類、診断書の注意点などを専門家が分かりやすく解説します。この記事では、高次脳機能障害での障害年金請求の重要ポイントをまとめました。

1. 高次脳機能障害の障害認定基準

障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)があり、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 精神の障害」が定められています。

高次脳機能障害では、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」などが評価の対象となります。

1-1. 障害等級の目安

高次脳機能障害は、日常生活能力の判定(身の回りのことができるか、適切な対人関係が築けるか等)に基づいて、以下の基準で判定されます。

等級 障害の状態(日常生活能力の目安)
1級
  • 高度の認知障害、人格変化、その他精神神経症状のため、常時の援助が必要な状態
2級
  • 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状のため、日常生活に著しい制限がある状態
3級
  • 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働に制限がある状態

2. 初診日の考え方と障害認定日

2-1. 高次脳機能障害における初診日

障害年金における初診日とは、「障害の原因となった傷病(高次脳機能障害)のために、初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日」のことをいいます。

  • 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)により救急搬送された日
  • 交通事故等で頭部外傷を負い、救急搬送された日
  • 脳炎・低酸素脳症などで最初に受診した日

2-2. 障害認定日について

原則として、初診日から1年6か月を経過した日が「障害認定日」となります。

  • 障害認定日請求:障害認定日時点で既に基準に該当している場合、遡って請求が可能です。
  • 事後重症請求:障害認定日時点では症状は軽度だったが、その後悪化した場合は、請求日以降から受給できます。

3. 障害年金請求に必要な書類

高次脳機能障害でで障害年金を請求する場合、一般的には次のような書類が必要です。

  • 障害年金請求書
    • 初診日に厚生年金加入 → 「国民年金・厚生年金保険 障害給付」
    • 初診日が20歳未満、または20歳以上65歳未満で国民年金加入 → 「国民年金 障害基礎年金」
  • 診断書(精神の障害用・様式第120号の4)
  • 病歴・就労状況等申立書(病状の経過と生活・仕事への影響を時系列で記載)
  • 受診状況等証明書(初診医療機関で作成)
  • 年金生活者支援給付金請求書

4. 診断書の重要ポイント

障害年金の結果は、診断書の内容に大きく左右されます。高次脳機能障害で障害年金を請求する際に重要となるポイントを押さえておきましょう。

4-1. 診断書の記載項目

診断書では、次のような記載項目があります。

  • 傷病名
  • 初診日からの病歴
  • 病状の程度や症状・処方薬
  • 生活環境・福祉サービスの利用状況
  • 日常生活能力の程度・日常生活能力の判定
  • 就労状況

4-2. 日常生活能力の程度・判定

精神の障害の認定では、診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」の記載が等級の目安として重視されています。

  • 日常生活能力の判定」は、食事・身辺の清潔保持・金銭管理と買い物・通院と服薬・対人関係・危機対応・社会性の7項目について、どの程度の援助が必要か4段階で評価されます。
  • 日常生活能力の程度」は、7項目(食事や掃除など)を総合して、「全体としてどのぐらい障害があるのか」 を評価されます。

ポイント
医師に診断書を依頼する際には、日常生活状況や困っていることを具体的に伝えるメモを用意しておくとよいでしょう。

5. 高次脳機能障害で障害年金を請求した事例集

高次脳機能障害で障害年金を請求した事例をまとめています。気になる事例のリンクをクリックすると、詳しい解説ページへ移動します。

40代女性 もやもや病による高次脳機能障害で障害厚生年金2級を受給

障害等級:障害厚生年金2級/事後重症請求

概要:もやもや病による脳出血で高次脳機能障害を発症。診断書を断る主治医に代わり、リハビリ病院へ依頼し、日常生活の困難さを丁寧に資料化。戦略的な申請により、障害厚生年金2級の受給が決定した事例です。

50代女性 高次脳機能障害で障害厚生年金2級を受給(肢体から変更)

障害等級:障害厚生年金2級/事後重症請求

概要:くも膜下出血による肢体麻痺での請求を検討していましたが、実態に合わせ「高次脳機能障害」へ方針を転換。日常生活の困難さを的確に反映させることで、障害厚生年金2級の受給を実現しました。

6. 最後に

本ページの内容は、高次脳機能障害で障害年金を請求する方法をまとめたものです。

高次脳機能障害は、外見からは分かりにくいため、周囲の理解が得られず、請求の手続きもご本人だけでは困難なケースが多々あります。

  • 最寄りの年金事務所での最新案内
  • 厚生労働省・日本年金機構の最新リーフレット
  • 障害年金に詳しい社会保険労務士

などに相談しながら、一歩ずつ進めていくことをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の方の受給権や等級を保証するものではありません。ご自身のケースについては、必ず年金事務所や専門家にご相談ください。

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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