悪性新生物で障害年金を申請(請求)する方法を解説 | かなみ社会保険労務士事務所
悪性新生物も障害年金の対象です。ここでは、悪性新生物の障害年金の基準や申請(請求)手続きのポイントを解説します。
悪性新生物の障害認定基準
悪性新生物による障害年金の各等級に該当する状態というのはどういったものでしょうか。
「障害認定基準」によれば次のようにされており、それぞれの等級によって支給額が決まります。※3級は障害厚生年金のみ 支給される障害年金額は等級別の障害年金の年金額をご参照ください。
等級 | 障害の程度 |
---|---|
1級 | 著しい衰弱、又は障害により、身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られているもの |
2級 | ・衰弱又は障害により、身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
・衰弱又は障害により、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
3級 | ・著しい全身倦怠により、歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
・著しい全身倦怠により、軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
・悪性新生物による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定され、認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものとされています。
・全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にされ、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定されます。
・転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められます。
悪性新生物による障害とは
悪性新生物による障害は、次のように区分されます。
- 悪性新生物そのもの(原発巣、転位巣を含む)の影響によって生じる局所の障害
- 悪性新生物そのもの(原発巣、転位巣を含む)の影響による全身の衰弱又は機能の障害
- 悪性新生物そのものに対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
障害年金の申請(請求)の進め方
悪性新生物で障害年金を申請(請求)する場合の手続きの進め方は次のようになります。
- 「初診日」を調べる。
-
「受診状況等証明書」取得する。
- 「病歴・就労状況等申立書」作成する。
- 「診断書」の作成を病院に依頼する。
具体的な手順はこちらのページで解説していますので、ご確認ください。
悪性新生物で使用する診断書
悪性新生物で障害年金を申請(請求)する場合、日常生活にどのように支障があるのかによって、使用する診断書の種類が変わってきます。複数の箇所に障害が残っている場合は、それぞれの箇所に該当する診断書を用意する必要があります。ご自分の症状に合った診断書を使用して申請(請求)するようにしましょう。
悪性新生物によって生じる局所・機能の障害の場合
悪性新生物の影響によって局所や機能に障害が残った場合は、それらの部位や症状に応じて診断書を選択します。
1.喉頭癌によって咽頭全摘出した場合
「言語・そしゃく障害用」の診断書を使用
さらに詳しく >> 喉頭全摘出で障害年金を申請(請求)する方法を解説
2.悪性新生物が原因で上肢や下肢を切断した場合
「肢体の障害用」の診断書を使用
3.大腸癌により人工肛門手術を受けた場合
「血液・造血器・その他の障害用」の診断書を使用
さらに詳しく >> 人工肛門や人工膀胱、尿路変更術で障害年金を申請(請求)する方法を解説
悪性新生物や治療の効果として起こる全身衰弱の場合
悪性新生物や治療(抗がん剤や放射線療法など)による副作用(倦怠感・嘔吐・下痢・貧血・体重減少)によって全身の衰弱が生じた場合には、「血液・造血器・その他の障害用」の診断書を使用します。
悪性新生物の治療による副作用で障害年金を申請(請求)するポイント
ポイント1 診断書で障害の程度を証明できるか
悪性新生物の治療による副作用で全身衰弱となった場合は、自覚症状や他覚所見などで、日常生活の制限度合いを証明することになります。
医師に診断書を依頼する際には、どのような自覚症状(倦怠感・嘔吐・下痢など)があるのか伝えておく必要があります。また、次のような要素を記載してもらうことも必要になります。
- 腫瘍マーカーの結果
- ステージ等の重症度
- 検査成績等(画像検査・血液検査)
- 身体計測(健康時体重 現在の体重)
- 現在の症状、その他参考となる事項
- 自覚症状(具体的に記入されているか)
- 他覚所見
- 治療内容(症状の推移・日常生活の活動状況)
ポイント2 障害認定日の診断書を取得する場合
障害認定日は、申請(請求)する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日とされています。
障害年金の本来請求か遡及請求をする場合は、障害認定日から3ヶ月以内の診断書を取得する必要があります。3ヶ月の間で病状の変化があった場合には、障害年金の受給対象になりえる時期の診断書を取得するようにします。また、複数の診療科を受診しているケースもあります。症状を適正に診断書に記載してもらえる診療科に診断書を依頼するようにしましょう。
ポイント3 病歴・就労状況等申立書は非常に重要になります
「病歴・就労状況等申立書」を作成する場合、発病時から初めて医師の診察を受けた時の経緯、現在までの経過を整理して、年月順で記入していきます。通院期間や入院期間、医師から指示された事項、受診していなかった期間には、なぜ受診をしなかったのかなどを具体的に記入していきます。
診断書は現在の病状を表すもので、「病歴・就労状況等申立書」はこれまでの病状の経過を表すものと言えます。
「病歴・就労状況等申立書」には、日常生活でどんなことで困っているのかを記入する項目もあります。障害年金の申請(請求)書類の中で請求者が審査側に主張できる書類になります。小さいことでもいいですので、できる限りの事を審査側に伝えておきたいものです。
悪性新生物で障害年金の申請(請求)をサポートした事例集
弊所が担当させていただいた案件を一部ご紹介いたします。
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