筋ジストロフィーで障害年金を請求する方法を解説 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求)を代行
筋ジストロフィーにより、日常生活や労働に著しい支障が出ている場合、障害年金の対象になる可能性があります。障害年金を請求するためには、初診日や医師の診断書などの情報が求められ、正確に手続きを行うことが大切です。ここでは、筋ジストロフィーの障害認定基準や、請求手続きを進めるためのポイントを解説いたします。
筋ジストロフィーの障害認定基準
障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)に定められており、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」が定められています。
ここでは、障害認定基準の中から、「肢体の障害認定基準」をご紹介します。
等級 | 障害の程度 |
---|---|
1級 | 一上肢及び一下肢において日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態
四肢の機能に相当程度の障害(日常生活にいける動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」を残すもの |
2級 | 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害(日常生活にいける動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」を残すもの
四肢に機能障害(日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」)を残すもの |
3級 | 一上肢及び一下肢に機能障害(日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」)を残すもの |
障害年金の請求手順
筋ジストロフィーによる障害年金の請求手続きは、以下のような手順で進めます。
- 初診日を調べる
- 年金事務所などで「保険料納付要件」を満たしていることを確認する
- 受診状況等証明書を取得する
- 病歴・就労状況等申立書を作成する
- 診断書を取得する
- その他必要書類を揃える
- 年金事務所などに年金請求書を提出する
受診状況等証明書の取得
筋ジストロフィーの場合、初発症状の頃は筋確定診断がでていないことが多くあります。障害年金は確定診断がされた日が筋ジストロフィーの初診日ではなく、自覚症状があり、その症状によって初めて医療機関を受診した日が初診日となります。
初診日の証明(受診状況等証明書)を取得する時は、どのような症状によって病院を受診していたのかなどを詳細に記入してもらった方がよいでしょう。また、診断書作成医に「〇〇〇の症状は筋ジストロフィーの初期症状と思われる」などと診断書作成医師の判断を記載してもらうのもよいでしょう。
障害年金の請求では初診日の特定が重要
障害年金を受給するには、障害の原因となる傷病が発生する前に、年金保険料を一定期間納付していることなどが支給要件となるため、初診日が非常に重要になります。
筋ジストロフィーは病状がゆっくり進行するため、初診日が相当程度過去になる場合があります。
「初診日」は自己申告ではなく、客観的な資料によって証明します。初診日を客観的な資料で特定できない場合でも、他の資料を提出することで認められる可能性があります。
大事なことは、初診日が曖昧なまま障害年金を請求しないことです。
「初診日」の取り扱いについては、以下のリンク先に掲載していますのでご覧ください。
病歴・就労状況等申立書の作成
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書や受診状況等証明書とともに、障害の認定において非常に重要な書類です。この書類は、診断書などが一時的な状況を示す「点」であるのに対し、発病から現在までの流れを記載する「線」の役割を持ちます。
発病から初診に至るまでの経緯や初診から現在までの治療経過、現在の病状や日常生活の状況などを具体的に記載することが重要です。原則として5年ごとに区切って記載しますが、転院歴がある場合は通院した病院ごとに記載します。専門用語ではなく、具体的なエピソードや個別の状況を記載していきます。
初診の医療機関で「受診状況等申立書」を取得できなかった場合は、「病歴・就労状況申立書」も非常に重要になりますので、初診日頃の状況を丁寧に記載します。
診断書を取得する
障害年金の請求で使用する診断書には、「日常生活における動作の障害の程度」という項目があります。障害年金の審査では重要視される箇所になりますので、日常生活の実態と合致しているか確認しましょう。
筋ジストロフィーで障害年金の請求をサポートした事例集
弊所が担当させていただいた案件を一部ご紹介いたします。
障害年金を請求する際は、必要な知識を把握した上で、年金事務所に足を運び、正しい手順で手続きを進める必要があります。
障害年金の手続きは複雑で、一般の方には分かりにくい点も多いため、不安や疑問がある場合は、社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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