筋ジストロフィーで障害年金を請求する方法 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求を代行
目次
1. 筋ジストロフィーの障害認定基準
障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)があり、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(肢体の障害)」が定められています。
1-1. 障害等級の基本(肢体の障害の場合)
| 等級 | 障害の状態の目安 |
|---|---|
| 1級 |
|
| 2級 |
|
| 3級 |
|
1-2. 筋力の測定と日常生活動作への影響
筋ジストロフィーでは、次のような客観的な所見と日常生活動作への影響が重視されます。
- 筋力の測定値
- 杖・補装具・車椅子などの使用状況
- タオル絞り・食事・衣類の着脱・排尿や排便の処置などへの影響
- 歩行(屋内・屋外)・階段の昇降などへの影響
2. 初診日の考え方と障害認定日
2-1. 初診日とは
障害年金における初診日とは、「障害の原因となった傷病(筋ジストロフィー)のために、初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日」のことをいいます。
筋ジストロフィーの場合、一般的には次のように考えます。
- 「よく転ぶ」「走るのが極端に遅い」などの相談で、小児科や整形外科を受診した日
- 筋力低下や歩行が困難になって神経内科を受診した日
- 健康診断や人間ドックなどで異常を指摘され、医療機関を受診した日
初診日にどの年金制度(国民年金か厚生年金)に加入していたか、保険料納付要件を満たしているかなどを確認するため、初診日は非常に重要です。「受診状況等証明書」などで証明する必要があります。
2-2. 障害認定日について
障害年金では、初診日から1年6か月を経過した日が「障害認定日」となります。
- 初診日から1年6か月を経過した時点の障害の程度で、障害等級に該当するかを判定
- その時点で該当しない場合、「事後重症」として、請求時点の状態で障害等級に該当するかを判定
筋ジストロフィーは徐々に進行する病気であるため、障害認定日時点では日常生活に大きな制限がなく、事後重症請求になるケースが多くなるでしょう。
3. 障害年金請求に必要な書類
筋ジストロフィーで障害年金を請求する場合、一般的には次のような書類が必要です。
- 障害年金請求書
- 初診日に厚生年金加入 → 「国民年金・厚生年金保険 障害給付」
- 初診日が20歳未満、または20歳以上60歳未満で国民年金加入 → 「国民年金 障害基礎年金」
- 診断書(肢体の障害用・様式第120号の3)
- 病歴・就労状況等申立書(病状の経過と生活・仕事への影響を時系列で記載)
- 受診状況等証明書(初診医療機関で作成)
- 年金生活者支援給付金請求書
4. 診断書の重要ポイント
障害年金の結果は、診断書の内容に大きく左右されます。筋ジストロフィーで障害年金を請求する際に重要となるポイントを押さえておきましょう。
4-1. 筋力の測定
筋ジストロフィーは「力が入らない」ことが障害の主要因となります。そのため、筋力の状態は障害の程度を示す客観的な証拠として、診断書の「筋力の測定」欄が非常に重要になります。
4-2. 日常生活動作(ADL)の具体的な記載
「日常生活における動作の障害の程度」も障害認定には非常に重要になります。
- 食事・排泄・更衣・起き上がりなどの日常生活動作について、どの程度可能なのか
- 屋内や屋外歩行・階段の昇降などの社会活動動作の状況

5. 筋ジストロフィーで障害年金を請求した事例集
筋ジストロフィーで障害年金を請求した事例をまとめています。気になる事例のリンクをクリックすると、詳しい解説ページへ移動します。
50代女性 筋ジストロフィーで障害基礎年金1級を受給
障害等級:障害基礎年金1級/事後重症請求
概要:筋ジストロフィーの疑いと指摘された当初のカルテが破棄されていましたが、その後の確定診断を受けた病院の証明書によって初診日が認められ、障害基礎年金1級を受給できた事例です。
30代男性 筋緊張性ジストロフィーで障害厚生年金1級を受給
障害等級:障害厚生年金1級/事後重症請求
概要:初診日証明が難しい状況の中で当事務所のサポートにより、障害厚生年金1級を受給できた事例集です。
6. 最後に
本ページの内容は、筋ジストロフィーで障害年金を請求する方法をまとめたものです。
障害年金の制度・診断書様式・運用は改正されることがありますので、実際に障害年金を請求される際は、
- 最寄りの年金事務所での最新案内
- 厚生労働省・日本年金機構の最新リーフレット
- 障害年金に詳しい社会保険労務士
などに確認しながら進めることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供であり、特定の方の受給権や等級を保証するものではありません。ご自身のケースについては、必ず年金事務所や専門家にご相談ください。
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