1型糖尿病で障害年金を請求する方法 | かなみ社会保険労務士事務所/障害年金請求を代行

1型糖尿病で障害年金を請求するために必要な障害認定基準、初診日の考え方、必要書類、診断書の注意点などを専門家が分かりやすく解説します。この記事では、1型糖尿病での障害年金請求の重要ポイントをまとめました。

1. 1型糖尿病の障害認定基準

障害年金に該当する障害の状態については、国民年金法施行令(別表)および厚生年金保険法施行令(別表第1・第2)があり、具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 代謝疾患による障害」に定められています。

1型糖尿病は、インスリン分泌が枯渇しており、生涯にわたりインスリン治療が不可欠な疾患です。
このため、障害年金においては原則として障害等級3級に該当するとされています。

重要ポイント1型糖尿病は「原則3級」とされていますが、日常生活状況によっては2級に該当する可能性も制度上は認められていますが、実務上は2級が認定されるケースは非常に少ないのが現状です。

1-1. 障害等級の考え方

  • 3級:インスリン治療を継続しており、就労に一定の制限がある状態
  • 2級:血糖コントロールが著しく困難で、日常生活に著しい制限を受ける状態

1-2. 2級認定について

2級相当かどうかを審査する過程で、自己対処等の必要も含めた「日常生活の制限度合い」や「労働の状況」を詳しく確認するため、「医師照会様式」の提出を求められることがあります。

  • 自己血糖測定やインスリン自己注射の実施状況
  • 低血糖・高血糖発作の頻度
  • 血糖コントロール(HbA1c等)の状態
  • 日常生活における制限の程度
  • 就労状況や就労上の配慮内容

2. 初診日の考え方と障害認定日

2-1. 1型糖尿病における初診日

障害年金における初診日とは、「障害の原因となった傷病(1型糖尿病)のために、初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日」のことをいいます。

1型糖尿病の場合、一般的には次のような日が初診日にあたります。

  • 「喉が異常に渇く」「急激に体重が減った」などの自覚症状で内科を受診した日
  • 健康診断で高血糖・尿糖を指摘され、医療機関を受診した日
  • 意識障害などで救急搬送された日(劇症1型などの場合)
※注意点1型糖尿病で障害年金(3級)を受給するためには、原則として初診日に厚生年金に加入している必要があります。国民年金加入中の初診日の場合、原則として2級以上が必要ですが、前述の通り1型糖尿病での2級認定はハードルが高い点に注意が必要です。

2-2. 障害認定日について

初診日から1年6か月を経過した日が「障害認定日」となります。

  • 障害認定日請求:障害認定日時点の診断書で請求します。
  • 事後重症請求:認定日当時は軽度だったが、その後悪化した場合や、合併症が出た場合などに請求します。

3. 障害年金請求に必要な書類

1型糖尿病で障害年金を請求する場合、一般的には次のような書類が必要です。

  • 障害年金請求書
    • 初診日に厚生年金加入 → 「国民年金・厚生年金保険障害給付」
    • 初診日が20歳未満、20歳以上65歳未満の国民年金 → 「国民年金障害基礎年金」
  • 診断書(腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用・様式第120号の3)
  • 病歴・就労状況等申立書(病状の経過や症状、生活・仕事への影響を時系列で記載)
  • 受診状況等証明書(初診医療機関)
  • 年金生活者支援給付金請求書

4. 診断書の重要ポイント

障害年金の結果は、診断書の内容に大きく左右されます。1型糖尿病で障害年金を請求する際に重要となるポイントを押さえておきましょう。

4-1. 検査成績の記載

1型糖尿病で障害厚生年金3級が認められるためには、「インスリン依存状態」かつ「コントロール不良」であり、労働に制限があることが要件となります。特に、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満であることが重要な指標になります。

4-2. 一般状態区分表(日常生活動作)

1型糖尿病では、「一般状態区分表」の評価も重要です。障害の程度が3級になるのは、「イ」以上の状態となります。

  • :軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行や軽労働はできる。
  • :歩行や身の回りのことはできるが、時に介助が必要で軽労働はできない。

医師に、日常生活や就労状況を正確に伝えることが大切です。

4-3. 医師照会様式(糖尿病用)

1型糖尿病の審査において、診断書の記載だけでは判断が難しい場合、年金機構から医師に対して、「障害年金(糖尿病)の請求にかかるご照会」が必要になる場合があります。

特に、2級相当の日常生活制限があるかどうかを判断するために、以下の項目を確認されます。

  • 低血糖又は高血糖の症状の傾向・対処方法・発生回数
  • インスリン治療の状況・血糖値の状態等を把握した資料(CGMデータ、自己管理ノート等)
  • 低血糖時の対処
  • 家族の介助状況
  • 自己対処等の必要も含めた具体的な日常生活状況

5. 1型糖尿病で障害年金を請求した事例集

当事務所による1型糖尿病で障害年金を請求した事例の一部をご紹介します。各事例のリンクをクリックすると、詳しい解説ページへ移動します。

40代男性 健康診断日が初診日 1型糖尿病で障害厚生年金3級を受給

障害等級:障害厚生年金3級/事後重症請求

概要:1型糖尿病により障害年金を請求した事例です。初診時のカルテが保存期間経過により破棄されていましたが、尿糖を指摘された当時の「健康診断結果票」を根拠に、健診日を初診日として主張。例外的な取り扱いが認められ、障害厚生年金3級を受給しました。

40代男性 初診時期を「月」まで特定 1型糖尿病で障害厚生年金3級を受給

障害等級:障害厚生年金3級/事後重症請求

概要:1型糖尿病により障害厚生年金3級を受給した事例です。最初の医療機関での正確な受診日が不明でしたが、転院先のカルテ記録に基づいて「初診の時期(月)」を特定して申し立てを行い、初診日として認められました。また、診断書の記載に不備が多い事例でしたが、障害年金の受給につなげました。

6. 最後に

本ページでは、1型糖尿病で障害年金を請求する方法をまとめました。

障害年金の制度・診断書様式・運用は改正されることがありますので、実際に障害年金を請求される際は

  • 最寄りの年金事務所での最新案内
  • 厚生労働省・日本年金機構の最新リーフレット
  • 障害年金に詳しい社会保険労務士

などに確認しながら進めることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の方の受給権や等級を保証するものではありません。ご自身のケースについては、必ず年金事務所や専門家にご相談ください。

投稿者プロフィール

松田康
松田康社会保険労務士 (障害年金専門家)
かなみ社会保険労務士事務所
社会保険労務士 27090237号
年金アドバイザー
NPO法人 障害年金支援ネットワーク会員

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